洋画で観る吸血鬼映画おすすめ10選｜美しき恐怖と哀しみのヴァンパイアたち

血を吸う怪物──それだけでは語りきれない、吸血鬼には“悲しみ”がある。

彼らは永遠を生きる代わりに、孤独と飢えを抱えている。

今回はそんなヴァンパイアの美しさと哀しさ、そして恐ろしさを描いた「洋画の吸血鬼映画」から、珠玉の10本を厳選。

クラシックな名作から、アート系・アクション・青春ロマンスまで、ジャンルの垣根を越えて選び抜きました。
吸血鬼の“人間ではない魅力”にどっぷり浸かってください。

夜の闇に、美しくも哀しい影が忍び寄る──。

吸血鬼映画おすすめ洋画10選｜美しき恐怖と哀しみのヴァンパイアたち

タイトル	ジャンル	怖さ
ノスフェラトゥ（1922）	クラシック・怪奇
ノスフェラトゥ（2024）	ダークファンタジー
シャドウ・オブ・ヴァンパイア	メタホラー・歴史
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア	耽美・ドラマ
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ	アート・退廃
ぼくのエリ 200歳の少女	純愛・北欧
ニア・ダーク／月夜の出来事	アウトロー・ロード
ブレイド	アクション・バトル
ドラキュラZERO	起源・戦記
トワイライト〜初恋〜	青春・ロマンス

ノスフェラトゥ（1922）

公開年	制作国	上映時間
1922年	ドイツ	94分

映画紹介：
ヴァンパイア映画の元祖にして金字塔──『ノスフェラトゥ（1922）』は、後のすべての吸血鬼映画に影響を与えたクラシックホラーの傑作です。

原作はブラム・ストーカーの『ドラキュラ』ですが、版権問題を避けるために名前や設定を一部改変。それでも“吸血鬼＝忌まわしい存在”というイメージを視覚的に確立したのが、この作品です。

とくに主人公ハーカーにあたる青年が訪れる古城での不気味な演出は、無声映画とは思えないほどの不穏さ。影の使い方や表情のない吸血鬼オルロック伯爵の異形さが、観る者の想像力を刺激します。

今観ても「古い映画」と侮れない、恐怖演出の原点。ホラー映画好きなら、一度は観ておきたいマスターピースです。

ノスフェラトゥ（2024）

公開年	制作国	上映時間
2024年	アメリカ	132分

映画紹介：
『ウィッチ』『ライトハウス』のロバート・エガース監督が、伝説的吸血鬼映画を現代に甦らせたリメイク作。神秘・不気味さ・美しさが渾然一体となったゴシックホラーの到達点です。

主演のビル・スカルスガルドが演じるノスフェラトゥは、1922年のオルロック伯爵を継承しつつも、より原始的で異形な存在感。“見る者を支配する目”と“夜の静寂”の演出は鳥肌もの。

リリー＝ローズ・デップが演じる女性との関係性にも焦点があてられ、ただのモンスター映画ではなく、哀しみと渇望を宿したドラマ性が強調されています。映像・音響・衣装、すべてが狂気と芸術の境界線。

クラシック原作の魂を汲みながら、現代的な恐怖で再構築した名リメイク。“映画”としての完成度の高さを求めるホラーファンにこそ観てほしい一作です。

シャドウ・オブ・ヴァンパイア

公開年	制作国	上映時間
2000年	イギリス／アメリカ	92分

映画紹介：
1922年の名作『ノスフェラトゥ』──その撮影現場で、本物の吸血鬼が役者として出演していたら…？
そんな奇想天外な“もしも”を本気で描いたメタホラーが本作『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』です。

主演はウィレム・デフォー。彼が演じるのは、実際にオルロック伯爵を演じた俳優“マックス・シュレック”に扮した“吸血鬼そのもの”。狂気と不気味さを兼ね備えた圧巻の怪演で、アカデミー賞にもノミネートされました。

物語は映画撮影の裏側をリアルに描きつつ、徐々に現場に不可解な死や失踪が起きていく展開に。映画への執着・演技と本物の境界・芸術の狂気といったテーマが複雑に絡み合います。

ホラー映画ファンなら必ずニヤリとできる、“吸血鬼映画を愛する者たち”のためのマニアックな一本。演技バトルと映画史の裏側にゾクゾクしてください。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

公開年	制作国	上映時間
1994年	アメリカ	123分

映画紹介：
「吸血鬼はなぜ生きるのか──」そんな問いに真正面から向き合った、吸血鬼映画史に残る叙情的名作が『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』です。

ブラッド・ピット演じる主人公・ルイが、記者に語る形で始まる吸血鬼としての苦悩と長い人生。トム・クルーズ演じる破滅的で自由奔放なレスタトとの対比が、生きること・死ぬこと・愛することの意味を深く問います。

耽美な映像とゴシックな世界観、そしてキルスティン・ダンスト演じる“永遠に少女のままの吸血鬼”クローディアの存在が、物語に狂気と哀しみを重ねます。彼女の苦悩は観る者の胸に刺さるでしょう。

グロやジャンプスケアに頼らず、哲学的で美しい恐怖を描いたこの作品は、まさに“大人のためのヴァンパイア映画”。ホラーを超えて、ドラマとしても極上です。

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

公開年	制作国	上映時間
2013年	イギリス／ドイツ	123分

映画紹介：
永遠を生きる吸血鬼は、世界をどのように見ているのか──その答えをアートで描き出したのがジム・ジャームッシュ監督作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』です。

ティルダ・スウィントンとトム・ヒドルストンが演じる、古代から生き続ける吸血鬼カップル。破滅寸前の人間社会と、退廃的で美しすぎる二人の存在が対照的に描かれ、まるで詩を読むような感覚を味わえます。

この作品にはアクションも恐怖演出もありません。あるのは、静かに流れる時間、音楽、そして永遠の愛。夜のデトロイトの廃墟を舞台にした映像美も極上です。

ホラーというより芸術としての吸血鬼映画。感傷的で知的な“吸血鬼の黄昏”を味わいたい人には、これ以上の作品はありません。

ぼくのエリ 200歳の少女

公開年	制作国	上映時間
2008年	スウェーデン	115分

映画紹介：
静かな雪の街で、孤独な少年と謎めいた少女が出会う──。
『ぼくのエリ 200歳の少女』は、吸血鬼映画でありながら、純粋な“愛の物語”としても深く胸に残る傑作です。

いじめられっ子の少年オスカーと、夜にしか現れない少女エリ。彼女が“普通ではない”ことに気づきながらも、オスカーは惹かれていく。その関係性がとにかく切なく、美しい。

ホラーとしても静かに残酷で、血の匂いが雪景色に溶けていくような演出が見事。説明を排し、観る者の感情で埋めさせる構成は、まさに北欧ならではの映画体験です。

怖さよりも寂しさ、そして救い。「誰かに必要とされること」の意味を問う、孤独な者たちの物語です。

ニア・ダーク／月夜の出来事

公開年	制作国	上映時間
1987年	アメリカ	94分

映画紹介：
吸血鬼×ロードムービーという異色の融合──『ニア・ダーク／月夜の出来事』は、西部劇のような荒野を舞台に展開するアウトロー吸血鬼映画です。

田舎町に暮らす青年ケリブは、謎めいた少女メイと出会った夜、吸血鬼にされてしまう。彼はメイの仲間である放浪吸血鬼集団とともに旅を始めるが、血を求める彼らの生き方に次第に葛藤していく──。

本作の魅力は、ヴィラン寄りの吸血鬼たちのワイルドさ。銃と炎と鮮血が飛び交うシーンの数々は『エイリアン2』に出演していたキャスト陣の迫力でさらに際立ちます。

王道の吸血鬼映画とは違い、“人間性”と“獣性”の狭間で揺れる苦悩がむき出し。暴力的でありながら、どこか寂しさを感じさせる一本です。

ブレイド

公開年	制作国	上映時間
1998年	アメリカ	120分

映画紹介：
吸血鬼に母を殺され、自らも吸血鬼として生まれた男──その名は「ブレイド」。
『ブレイド』は、スタイリッシュ・アクションとバンパイア伝説を融合させたエンタメ系吸血鬼映画の金字塔です。

主演はウェズリー・スナイプス。黒革のロングコートにサングラス、刀と銃を駆使してヴァンパイアたちを次々と斬り倒す姿は、当時の観客を熱狂させました。R指定の激しいバトルと鮮血描写も見どころ。

物語は吸血鬼組織との全面戦争を軸に展開しますが、その中に「人間」と「吸血鬼」の狭間で揺れるブレイドの孤独も描かれます。戦士でありながら、心は傷ついたひとりの男というギャップが魅力。

アクション映画としても完成度が高く、後の『マトリックス』やMCUにも影響を与えた作品。「かっこいい吸血鬼映画」が観たい人に最適です。

ドラキュラZERO

公開年	制作国	上映時間
2014年	アメリカ	92分

映画紹介：
ドラキュラ＝ただの怪物？ いいえ、彼には守りたい家族と祖国があった──。
『ドラキュラZERO』は、“吸血鬼になる前の物語”を英雄譚として描いたダークファンタジー超大作です。

主人公は実在したワラキア公ヴラド3世。愛する妻子と民を守るため、古の魔物と契約し“吸血鬼”になる決断を下します。「モンスターになることでしか守れないものがある」というテーマが胸に迫ります。

戦闘シーンは圧巻。コウモリを操り、闇の力を纏ったヴラドの無双ぶりは、ダークヒーロー映画としてのカタルシスも満点。全編を通して美しいビジュアルと重厚な音楽が彩ります。

怪物ドラキュラの“起源”をドラマチックに描いた本作は、ホラー×神話×英雄譚が融合した意欲作。従来の吸血鬼像に飽きた人にこそ観てほしい作品です。

トワイライト〜初恋〜

公開年	制作国	上映時間
2008年	アメリカ	122分

映画紹介：
吸血鬼との恋──それは命を賭けた純愛だった。
『トワイライト〜初恋〜』は、10代の少女と不老不死の吸血鬼の禁断の恋を描いたロマンスホラーの大ヒット作です。

転校生ベラと、謎めいた美少年エドワードの出会い。彼の正体は吸血鬼──それでも惹かれ合う二人の関係は、“人間と吸血鬼の壁”という永遠のテーマをロマンチックに描いていきます。

キラキラ輝く肌、血を吸わないヴァンパイア一族、三角関係など、当時の若者の心を鷲掴みにした設定が満載。ホラーというより“耽美で危うい恋愛映画”として楽しめる一作です。

ホラー要素は控えめながら、「恋愛×吸血鬼」の入り口としては最適。吸血鬼映画＝怖いという概念を覆す、異色のブーム作として歴史的価値もあります。

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まとめ｜吸血鬼映画は“恐怖”だけじゃない

吸血鬼──それは人を襲う恐ろしい存在であると同時に、孤独・哀しみ・愛といった人間の深い感情を投影する存在でもあります。

今回紹介した10作品は、クラシックからロマンス、アート系、アクションまで、ジャンルも表現もさまざま。ですがどれも「吸血鬼とは何者か？」という問いに、それぞれ独自の答えを提示しています。

怖さやグロさだけでなく、美しさ・切なさ・哲学性にも注目して観ることで、吸血鬼映画の魅力は何倍にも広がります。

夜の静けさに寄り添いながら、心に残るヴァンパイアたちの物語にぜひ浸ってみてください。