ピエロが怖すぎるホラー映画10選｜笑えない道化師たちの恐怖劇場

幽霊でもゾンビでもない、ただ“そこにいるだけ”で人を恐怖に陥れる存在がいる──。

それが「ピエロ」です。

笑顔の仮面をかぶりながら、何を考えているかわからないその不気味さ。ピエロはホラー映画において、純粋な狂気と不条理の象徴として恐れられてきました。

今回はそんな“笑えない道化師”が登場するホラー映画を10本厳選。
ペニーワイズのような王道から、B級スプラッター、実話ベースの不気味なドキュメンタリーまで、あなたのピエロ恐怖症を刺激するラインナップでお届けします。

笑っているのは、あいつだけ──。

ピエロが怖すぎるホラー映画10選｜笑えない道化師たちの恐怖劇場

タイトル	ジャンル	怖さ
IT／イット “それ”が見えたら、終わり。	クラシック・ピエロ
クラウン	変身・呪い
テリファー	スプラッター・無言殺人鬼
キラー・クラウン	B級・宇宙ピエロ
ピエロがお前を嘲笑う	疑似ドキュメンタリー
ジョーカー	リアル狂気・サスペンス
31（サーティワン）	バイオレンス・サバイバル
デッド・サイレンス	人形・ピエロ演出
スケアリーストーリーズ 怖い本	怪談・ビジュアル恐怖
マーダー・ライド・ショー	カルト・ピエロ殺人鬼

IT／イット “それ”が見えたら、終わり。

公開年	制作国	上映時間
2017年11月3日	アメリカ	135分

映画紹介：
ピエロホラーといえばこの作品──恐怖の象徴・ペニーワイズが現代ホラーの頂点を塗り替えた『IT／イット』は、見た目の怖さだけじゃない“本質的な恐怖”を描く傑作です。

物語はアメリカの田舎町デリーで、子どもたちが次々と行方不明になるという怪事件から始まります。下水道から現れるピエロ・ペニーワイズは、子どもの恐怖を喰らう悪夢の存在。無邪気なはずの存在が、あまりにも邪悪な存在へと変貌する姿が強烈です。

ジャンプスケアや視覚的恐怖も圧巻ですが、それ以上に心を揺さぶるのが“子どもたちの絆”の描写。彼らが恐怖に立ち向かう姿に胸が熱くなり、感情移入が恐怖をよりリアルに感じさせます。

ただ怖いだけじゃない──少年期の不安、仲間とのつながり、そして“恐怖との向き合い方”。王道かつ最恐のピエロ映画として、まず観るべき一本です。

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クラウン

公開年	制作国	上映時間
2015年3月21日	アメリカ	100分

映画紹介：
「ピエロの衣装を着ただけだったのに──」。
何気ない日常から地獄が始まる変身ホラー『クラウン』は、コメディの象徴だったはずのピエロが呪いと化す、異色の“スーツ系ホラー”です。

息子の誕生日パーティにピエロが来られなくなり、偶然見つけた衣装を着て代役を務めた父親。だがその衣装は、外すことのできない呪われたスーツだった──。髪の色が変わり、肌がただれ、欲望のままに子どもを襲うようになっていく変貌は、見ていてぞっとします。

特殊メイクの完成度も高く、変わり果てていく主人公の姿は人間性を失っていく恐怖そのもの。グロ描写は控えめながら、愛する者を傷つけてしまう苦悩が恐怖に深みを与えています。

製作にイーライ・ロスが関わっているだけあり、王道と邪道の中間を突くスタイルは必見。家庭と呪いが交差する“悲劇のピエロホラー”として、強く印象に残る作品です。

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テリファー

公開年	制作国	上映時間
2018年3月15日	アメリカ	82分

映画紹介：
ただ笑ってるだけ。なのに、こんなにも恐ろしい──。『テリファー』は、言葉を一切発さないピエロ殺人鬼「アート・ザ・クラウン」が狂気を振りまく、問答無用のスプラッターホラーです。

舞台はハロウィンの夜。街をさまようアート・ザ・クラウンは、誰に理由を告げるでもなく、ただ静かに、淡々と、獲物をいたぶり、解体し、破壊していく。その姿はどこか滑稽なのに、残虐すぎて笑えません。

血しぶきと絶叫が飛び交う中、ジャンプスケアや説明を一切排除した構成が逆にリアル。観客はなぜ？どうして？と思う間もなく、強制的に悪夢の世界へ引きずり込まれます。

耐性のない人にはおすすめできませんが、とにかくエグくて怖いピエロが観たいならこれ一択。B級ながら、ここまで振り切った作品はなかなかありません。

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キラー・クラウン

公開年	制作国	上映時間
1988年5月27日	アメリカ	87分

映画紹介：
宇宙からやってきたのは、笑えないジョークのかたまりだった──。
『キラー・クラウン』は、ピエロ×エイリアン×B級ホラーの究極ミックス。1980年代のカルト的愛され作品です。

ストーリーはごくシンプル。田舎町に突如現れた宇宙船、そして現れる“ピエロ型宇宙人”たち。彼らは見た目こそカラフルで楽しげですが、やることは残虐非道。人間をわたあめに包んで吸い取るなど、ギャグのようでガチな殺戮が展開されます。

チープなのに細部の造形が妙に凝っていて、B級らしい愛と職人魂を感じさせる一本。怖さよりも「なんだこれは！？」という驚きと楽しさが勝り、狂気じみたエンタメホラーとしてクセになります。

観れば観るほどクセになる、まさに“地球侵略版サーカスホラー”。
ホラー映画ファンなら一度は体験しておきたいピエロ異色作です。

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ピエロがお前を嘲笑う

公開年	制作国	上映時間
2015年9月12日	ドイツ	106分

映画紹介：
“ピエロ＝ハッカー”──イメージを覆すサイバーサスペンスの傑作。『ピエロがお前を嘲笑う』は、現代の匿名性と虚構の正義を巧みに織り込んだ、予想不能なトリック系スリラーです。

冴えないハッカー・ベンヤミンが出会ったのは、カリスマ的な存在マックスとその仲間たち。4人はピエロの仮面をシンボルに掲げ、“CLAY”という名のハッカー集団として名を上げていく。彼らの攻撃は次第にエスカレートし、ついには国家機関すら標的にするまでになるのです。

軽いノリで始まったハッキングゲームが、殺人事件とスパイ活動、そして“裏切り”へとつながっていくストーリーは、観る者を完全に翻弄します。誰が味方で、誰が敵なのか？ 何が本当で、何が嘘なのか？ 終盤に明かされる真実は、まさに衝撃のひと言。

ピエロの仮面が意味する“多重性”と“欺瞞”。現代社会を強烈に風刺しながら、どんでん返しの連続で魅せる知的ホラーとして異彩を放つ一本です。

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ジョーカー

公開年	制作国	上映時間
2019年10月4日	アメリカ	122分

映画紹介：
「社会が生み出した本物の怪物」──。
ホアキン・フェニックスが狂気と孤独を極限まで演じきった『ジョーカー』は、“笑うピエロ”がなぜ恐怖の象徴になるのかを根源から問いかける、心理ホラーの傑作です。

アーサー・フレックは笑いを届けるはずの道化師。しかし、現実は貧困、孤独、無理解の連続。彼は病的に“笑ってしまう”障害を抱えながらも、社会の片隅でひっそりと生きていました。だが、ある事件をきっかけに、その笑顔が狂気へと変わっていくのです。

暴力描写よりも、崩れていく精神と現実の曖昧さが恐ろしく、観る者の心を深くえぐります。街を覆う不安と怒りが、ひとりの男の内面とリンクし、やがて社会全体を巻き込む破壊へと繋がっていく過程は圧巻。

“ピエロの仮面”の意味がここまで重く、苦しく、美しく描かれた作品は他にない。現実に潜む恐怖がもっとも怖い──そう痛感させられる映画です。

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31（サーティワン）

公開年	制作国	上映時間
2016年10月22日	アメリカ	103分

映画紹介：
地獄のゲームにルールなんてない──。『31（サーティワン）』は、サイコなピエロたちに命を狙われる“殺人ゲーム型ホラー”。ロブ・ゾンビが手がけた、暴力と狂気が入り混じる悪夢のような一作です。

舞台は1976年のハロウィン。カーニバルで働く男女が誘拐され、目を覚ますとそこは廃墟のような施設。12時間“殺し屋ピエロ”たちの襲撃を生き延びれば解放──それがこのゲーム「31」のルール。次々と現れる凶悪なピエロたちは、殺意と狂気に満ちあふれており、逃げ場も救いもありません。

特筆すべきは“ドゥームヘッド”という最終ピエロの存在。理知的で饒舌、だけど残虐という矛盾の塊のようなキャラが強烈なインパクトを残します。観客も登場人物も、彼に心をかき乱されるはず。

グロ描写・暴力描写ともに過激。ですがその中に、“死と隣り合わせの生”をむき出しに描くパンクな精神があり、観終わった後には謎の熱量が残ります。ピエロ＝不条理な暴力を象徴する、尖った作品です。

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デッド・サイレンス

公開年	制作国	上映時間
2008年3月22日	アメリカ	89分

映画紹介：
「叫んだら、殺される──」
『ソウ』のジェームズ・ワン監督が贈る『デッド・サイレンス』は、腹話術人形とピエロの恐怖を掛け合わせたビジュアル特化型ホラー。静寂の中に潜む“死”が、じわじわと忍び寄ります。

主人公の元に届いたのは、名前も知らない差出人からの腹話術人形。やがて妻が謎の死を遂げ、彼は故郷の町へと向かいます。そこには「叫び声をあげた者は殺される」という伝説と、死んでもなお町を支配する腹話術師メアリー・ショウの亡霊が待ち受けていました。

本作に登場するピエロ人形たちは無数。どこかで見たことがあるような表情が、不気味なまでに整列してこちらを見つめてくるシーンは、視覚的に強烈なインパクトを残します。ジャンプスケアも多数あり、ホラー好きにはたまらない演出の連続です。

最後の最後に訪れる“沈黙”の意味にゾッとする──ピエロ演出×ゴシックホラー×サスペンスの融合が生んだ、上質な“静”の恐怖を堪能してください。

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スケアリーストーリーズ 怖い本

公開年	制作国	上映時間
2020年2月28日	アメリカ	108分

映画紹介：
子どものころに読んだ怖い話が、現実になったら──。
『スケアリーストーリーズ 怖い本』は、アメリカの怪談絵本を実写化した短編集スタイルのホラー映画で、その中に登場する“ピエロ型クリーチャー”が強烈すぎると話題になりました。

舞台は1968年の田舎町。ひとつの“怖い本”を見つけたことで、物語に登場する怪物たちが現実に出現。ページがめくられるたびに仲間たちがひとり、またひとりと消えていきます。そして現れるのが、不気味に笑いながら迫ってくる、白塗りのピエロ風クリーチャー。

このピエロの恐ろしさは、動きと存在感。決して走らないのに逃げ切れず、じわじわと包囲される恐怖は夢に出てくるタイプの悪夢感。CGではなく特殊メイクで表現されたリアルな造形も、ゾクっとさせられます。

子ども向けと思って侮るなかれ。ギレルモ・デル・トロ製作らしい耽美でグロテスクな世界観が詰まっており、大人でもトラウマ必至なビジュアルホラーです。

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マーダー・ライド・ショー

公開年	制作国	上映時間
2004年8月14日	アメリカ	89分

映画紹介：
“ようこそ、狂気の見世物小屋へ”──。
『マーダー・ライド・ショー』は、ロブ・ゾンビ監督の狂気と美学が炸裂するカルトホラーで、登場するピエロ・キャプテン・スポールディングは、史上最も不気味で悪趣味な道化師として今なお語り継がれています。

物語は、田舎町を旅する若者4人が、悪趣味なロードサイド・アトラクションに立ち寄るところから始まります。そこを経営するのが、血まみれのジョークを語るピエロ、スポールディング。彼らがその“伝説の殺人鬼”にまつわる話に興味を持ってしまったことで、すべては狂い始めます。

本作はただのスプラッターに留まらず、70年代グラインドハウス風の映像美とサイケデリックな編集、そして正気と狂気が反転する構成で観る者の神経を削ります。ピエロというより“地獄の案内人”のようなスポールディングの存在感が圧倒的。

笑えない冗談と、不快すぎる快楽が入り混じった世界観。B級ホラー好き、カルト映画ファンならマストで体験すべきピエロ地獄です。

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子どもの恐怖を食らう異形の存在、呪われたスーツが人間を蝕んでいく変身ホラー、無言で笑いながら殺すサイコクラウン…。笑顔の裏に潜む狂気を描いたこれらの作品は、ホラーの中でも一線を画す恐怖体験です。

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まとめ｜ピエロが怖すぎる理由、それは“笑っているから”

ピエロとは、本来人を楽しませる存在のはず──。
それなのに、どうしてこんなにも“怖い”と感じてしまうのか。

無表情な仮面、強制された笑顔、何を考えているかわからない沈黙。
それらはホラー映画において、恐怖を象徴する“虚ろな人間像”として描かれてきました。

今回ご紹介した10本は、そんなピエロの持つ不気味さや狂気を、それぞれ異なるアプローチで掘り下げた名作ばかりです。

スプラッター、サスペンス、変身ホラー、心理スリラー…。ピエロはどんなジャンルにも溶け込み、そして静かにあなたの恐怖心をくすぐってきます。

あなたがもし「ピエロなんて怖くない」と思っていたなら──ぜひ今回の1本から観てみてください。
その“笑顔”が、二度と笑えなくなるかもしれませんよ。

それでは、よい悪夢を。