田舎ホラー映画おすすめ10選｜閉鎖的な村で起きる極限の恐怖

幽霊でも怪物でもない──それなのに、これほど逃げ場のない恐怖があるだろうか。

それが「田舎ホラー」です。

都会では考えられない閉鎖性、よそ者を拒む視線、古くから受け継がれてきた不可解な風習。
一歩足を踏み入れた瞬間、そこはもう外界と隔絶された“村”という名の檻です。

今回は、日本・韓国・欧米から厳選したおすすめの「田舎ホラー映画」10本をご紹介。
山間の集落でひそかに続く儀式、笑顔の裏に潜む悪意、明るい日差しの下で進行する狂気──そのすべてがあなたを逃がしません。

文明から遠ざかるほど、恐怖は濃くなる──。

田舎ホラー映画おすすめ10選｜閉鎖的な村で起きる極限の恐怖

タイトル	ジャンル	怖さ
犬鳴村	心霊・都市伝説
みなに幸あれ	民俗・スリラー
黄龍の村	モンスター・民俗
哭声／コクソン	サスペンス・民俗
ヴィレッジ（2023）	社会派・サスペンス
スピーク・ノー・イーブル 異常な家族	心理スリラー
パール	スラッシャー・サイコ
アポストル 復讐の掟	カルト・宗教
ウィッカーマン	フォークホラー・カルト
ミッドサマー	フォークホラー・カルト

犬鳴村

公開年	制作国	上映時間
2020年	日本	108分

映画紹介：
日本の都市伝説の中でも屈指の知名度を誇る“犬鳴村”を題材にした心霊ホラー。『呪怨』の清水崇監督が、実在の噂と創作を巧みに融合させ、「絶対に行ってはいけない場所」の恐怖をスクリーンに再構築しました。

物語は、看護師の奏が不可解な出来事をきっかけに、封鎖された犬鳴トンネルの奥にある村の存在を知るところから始まります。現代のスマホ文化やSNSを通して語られる怪異は、若者の好奇心と恐怖をリアルに描き出します。

映像は湿った空気と薄暗い山中の描写が秀逸で、観客を「村の外」にいるのに閉じ込められたような錯覚に誘います。清水監督らしい“間”を活かした驚かせ方と、じわじわ忍び寄る不安感は健在です。

都市伝説好きにも、正統派Jホラーを求める人にも刺さる一作。実在の噂が映画の中でさらに肥大化するその過程は、フィクションなのに妙な現実味を帯びています。

みなに幸あれ

公開年	制作国	上映時間
2024年	日本	99分

映画紹介：
一見のどかな山村に潜むのは、笑顔と優しさ──そして説明のつかない“おかしさ”だった。『みなに幸あれ』は、現代日本における民俗ホラーの新たな傑作として注目を集めた一作です。

女子大生の明日美が祖父母の家に帰省したことから物語は始まります。優しく迎え入れる村人たち。しかしその笑顔の裏には、村全体で共有されている不可解な価値観が隠されていました。親切なのにどこか狂っている…そんな空気が序盤からじわじわと侵食してきます。

特徴的なのは、過剰なBGMや派手な演出を抑え、視線や間、日常の些細なやり取りの中で不気味さを積み上げていく手法。観客は明日美と同じく、「なぜこんなにも違和感が拭えないのか」と首を傾げながらも、次第にその理由を知ることになります。

終盤で明かされる“幸せ”の真実は衝撃的で、同時に日本の田舎社会の暗部をえぐり出すメタファーとしても機能します。ホラーとしても社会派ドラマとしても観応え十分の作品です。

黄龍の村

公開年	制作国	上映時間
2021年	韓国	114分

映画紹介：
韓国の山奥にある小さな村──そこは、外界から隔絶された独自の掟で生きる場所だった。『黄龍の村』は、民俗伝承とモンスター・ホラーが融合した異色作です。

都会からやって来た青年が偶然立ち寄ったこの村には、“黄龍”と呼ばれる伝説の怪物が眠っているという言い伝えがありました。最初は親切に見える村人たちも、次第に奇妙な行動や言葉を見せ始め、村全体が何かを隠していることがわかってきます。

物語はモンスター映画的な迫力と、村の掟がもたらす人間的な恐怖の両面を楽しめる構成。韓国ホラー特有の容赦ない展開が、観客に息つく暇を与えません。

単なる怪物退治では終わらない、ラストの余韻も秀逸。閉ざされた村が抱える狂気と伝承の闇が、じわじわと心に残ります。

哭声／コクソン

公開年	制作国	上映時間
2016年	韓国	156分

映画紹介：
平和な山間の村に突如訪れた連続怪死事件──。『哭声／コクソン』は、ミステリー、サスペンス、オカルトの要素を巧みに融合させた韓国ホラーの傑作です。

主人公は、事件を追う地方警察官ジョング。ある日、村に現れた得体の知れない日本人男性の存在が、村人たちの間で不安と疑念をかき立てます。不可解な病、正体不明の儀式、そして誰を信じればいいのかわからない状況…観客もまた登場人物と同じ迷路に迷い込むことになります。

156分という長尺ながら、一切の退屈さを感じさせない緊張感。村を包み込む不穏な空気感と、終盤の怒涛の展開は圧巻で、観終わったあとに“真相”について議論したくなるタイプの作品です。

韓国映画らしいリアリティと情念、そしてオカルト的恐怖が混じり合い、じわじわと精神を削ってきます。ラストの一撃は心に深い爪痕を残すはずです。

ヴィレッジ（2023）

公開年	制作国	上映時間
2023年	日本	120分

映画紹介：
美しい自然に囲まれた山間の村──その静けさの裏には、巨大な秘密が隠されていた。『ヴィレッジ（2023）』は、社会派サスペンスと村社会の閉鎖性を融合させた異色の日本映画です。

主人公は村で生まれ育った青年・優。村を支えるのは、ごみ処理施設という負の遺産でした。環境問題や利権が絡み合う中、村人たちは沈黙を守り、外部からの視線を徹底的に排除します。優は次第に、この村が抱える真実と、自らの家族の秘密に向き合わざるを得なくなります。

ホラー映画的な怪異は登場しませんが、人間関係の圧力と逃げ場のなさが観客の神経をじわじわ削ります。美しい田園風景が、物語が進むにつれて不穏な色を帯びていく映像演出は圧巻です。

村社会に潜む同調圧力と沈黙の連鎖──それは怪物以上に恐ろしく、現実味を帯びた恐怖として迫ってきます。

スピーク・ノー・イーブル 異常な家族

公開年	制作国	上映時間
2022年	デンマーク・オランダ	97分

映画紹介：
笑顔で招かれたはずの別荘が、恐怖の檻に変わる──。『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』は、人間の悪意と同調圧力を極限まで描き切った心理スリラーです。

物語は、休暇先で出会った親切そうな一家に招待され、田舎の別荘を訪れるデンマーク人夫婦と娘。最初は和やかだった滞在も、徐々に相手の奇妙な行動や言動が目立ち始めます。それでも彼らは「失礼になるから」と笑顔を保ち続け、逃げ出すタイミングを完全に失っていくのです。

ホラー的な怪物は一切出てこないのに、人間の不気味さだけで胃が締め付けられるような緊張感が全編を覆います。特に終盤、穏やかな空気が一瞬で地獄に変わるあの瞬間は、観客の心を凍りつかせるでしょう。

「なぜ何も言わなかったのか」という後悔が、観る者にも突き刺さる。“礼儀”が命を奪う”という現実的すぎる恐怖がここにあります。

パール

公開年	制作国	上映時間
2022年	アメリカ	102分

映画紹介：
夢見がちな少女が、孤立した農場で静かに狂気へと堕ちていく──。『パール』は、映画『X エックス』の前日譚として制作された、血塗られた純真の物語です。

舞台は1918年、第一次世界大戦下のアメリカ南部。パールは厳格な母と病弱な父と共に、人里離れた農場で暮らしています。外の世界への憧れを募らせる彼女は、やがてその夢と現実のギャップに押し潰され、愛と承認欲求が殺意に変わっていくのです。

本作はホラーでありながら、色彩豊かな映像とミュージカル的な演出が織り交ぜられ、狂気と美しさが同居する独特の空気感を生み出しています。主演ミア・ゴスの長回しモノローグは、まさに圧巻の一言。

血の匂いよりも、孤独と欲望の匂いが濃厚に漂うサイコホラー。パールというキャラクターが、ホラー史に刻まれる存在であることを確信させる作品です。

アポストル 復讐の掟

公開年	制作国	上映時間
2018年	アメリカ・イギリス	130分

映画紹介：
1905年、孤島に築かれた信仰の村──。『アポストル 復讐の掟』は、カルト宗教とフォークホラーを融合させた、陰鬱で過激なサスペンスホラーです。

主人公トーマスは、カルト教団に囚われた妹を救うため、信者になりすまして島へ潜入します。しかし村の指導者や住民は、異様な教義と儀式を守り、外界から完全に隔絶された生活を送っていました。そこには人知を超えた存在と、血にまみれた秘密が潜んでいたのです。

中盤以降は、拷問・処刑・生贄といった生々しい描写が次々と襲いかかり、観客を逃がしません。幻想的な映像美と、容赦ないバイオレンスのギャップが強烈な印象を残します。

静かに狂気が満ちていく島の空気感は、まさにフォークホラーの真骨頂。閉ざされた共同体が守る“掟”がいかに恐ろしいかを見せつけてくれます。

ウィッカーマン

公開年	制作国	上映時間
1973年 / 2006年	イギリス / アメリカ	88分 / 102分

映画紹介：
離島に建つカルト的共同体、そこで行われる異教の儀式──。『ウィッカーマン』は、フォークホラーの原点とされる伝説的作品です。1973年のオリジナル版はカルト的人気を誇り、2006年にはニコラス・ケイジ主演でリメイクもされました。

物語は、失踪した少女を捜すため、警察官が島を訪れるところから始まります。しかし島民は誰もがよそ者を歓迎しないどころか、奇妙に統一された笑顔と沈黙で外部からの干渉をかわします。島の祭りや歌、儀式の一つひとつが、じわじわと不穏さを増していきます。

派手な殺戮や怪物は出ませんが、文化そのものが狂気に染まっている恐怖が本作の真骨頂。特に終盤、儀式の全貌が明らかになった瞬間の衝撃は、フォークホラー史に残る名シーンです。

民俗儀式や異文化への恐怖を描く作品の多くが、この『ウィッカーマン』に影響を受けていると言っても過言ではありません。

ミッドサマー

公開年	制作国	上映時間
2019年	アメリカ・スウェーデン	147分（劇場版）

映画紹介：
真昼の光が、恐怖を隠さない──。『ミッドサマー』は、フォークホラーの新たな到達点として世界中で話題となった衝撃作です。

心に深い傷を抱えた主人公ダニーは、恋人や友人たちと共にスウェーデンの奥地で行われる夏至祭へ参加します。白夜のもと、花々と緑に囲まれた美しい村。しかしその笑顔と歌声の裏で、古代から続く狂気の儀式が静かに進行していました。

本作の恐怖は、暗闇やジャンプスケアではなく、明るさの中で堂々と行われる異常にあります。色彩豊かな映像美と、儀式の不気味さとのコントラストが観客の心をじわじわと侵食していきます。

監督アリ・アスターは、人間関係の崩壊と再生をテーマにしながら、フォークホラーの枠を超えた心理ドラマとしての深みを持たせています。観終わった後も、あの笑顔と花冠が忘れられなくなるでしょう。

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『ウィッカーマン』『ヴィレッジ（2023）』『みなに幸あれ』といった、村や田舎を舞台にした閉鎖的ホラーも、U-NEXTでは多数ラインナップされています。

静かな笑顔の裏に潜む狂気、代々受け継がれる儀式、そして逃げ場のない空間──派手なスプラッターではなく、観る者の心をじわじわと締めつける恐怖がそこにはあります。

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閉ざされた村で味わう、逃げられない恐怖。

美しい風景、優しい笑顔──それが恐怖の始まりになることがあります。

田舎や村を舞台にしたホラーは、逃げ場のない閉鎖空間と、外界から遮断された独自の掟が生み出す極限の緊張感が魅力です。そこでは常識が通用せず、観る者は主人公と同じく、じわじわと包囲されていく感覚を味わうことになります。

もしあなたが「幽霊や怪物より、人間や社会の方がよほど怖い」と感じるなら、このジャンルはきっと心に突き刺さるはず。静かな笑顔の奥に潜む狂気、儀式や風習に隠された闇──そんな逃げられない恐怖を、今回紹介した10本で堪能してみてください。