派手な血しぶきや怪物は登場しなくても、人を底なしの不安に突き落とす“恐怖”がある──。
それが「ヒッチコックのサスペンス映画」です。
ただの会話や沈黙、窓の外の視線、誰かの足音…何気ない日常の中で少しずつ狂気が顔をのぞかせる。その緊張感と心理的圧迫は、ホラーに匹敵するほどの衝撃を与えてきました。
今回はヒッチコックが手がけたサスペンス映画から、
ホラー寄りの傑作からスパイ・犯罪スリラーまで、22本を厳選してランキング形式で紹介します。映画史に刻まれた名作の数々を、この機会にぜひ体験してください。
恐怖の原点は、いつも「人間の心」の中にある──。
・ヒッチコックの映画を観たいけど、どれから観ればいいか迷っている人
・ホラーだけでなく、心理的にゾクッとする作品を探している人
・不朽の名作から知られざる佳作まで、幅広くチェックしたい人
ヒッチコックサスペンス映画おすすめ22選|巨匠が描く恐怖ランキング

タイトル | ジャンル | 怖さ |
---|---|---|
サイコ | サイコホラー | |
鳥 | 自然パニック | |
フレンジー | サイコスリラー | |
見知らぬ乗客 | 心理スリラー | |
ロープ | 密室サスペンス | |
裏窓 | シチュエーションスリラー | |
めまい | 心理サスペンス | |
私は告白する | 心理・宗教スリラー | |
舞台恐怖症 | 心理サスペンス | |
レベッカ | ゴシックサスペンス | |
ダイヤルMを廻せ! | 犯罪サスペンス | |
泥棒成金 | ロマンス・サスペンス | |
海外特派員 | スパイサスペンス | |
逃走迷路 | 逃亡サスペンス | |
疑惑の影 | 家庭スリラー | |
北北西に進路を取れ | スパイスリラー | |
三十九夜 | 逃走・スパイ | |
知りすぎていた男 | 誘拐サスペンス | |
断崖 | スパイスリラー | |
間違えられた男 | 実録サスペンス | |
引き裂かれたカーテン | 冷戦スリラー | |
トパーズ | スパイ・政治サスペンス |
サイコ
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1960年 | アメリカ | 109分 |
映画紹介:
シャワーの悲鳴、そしてストリングスの悲鳴──映画史を二分した“恐怖の音”がここにある。『サイコ』は、日常の皮が剥がれる瞬間を描いた心理ホラーの金字塔。モーテル、優しげな青年、母の気配…手触りは現実的なのに、気づけば足元が消えている。
雨の夜、たまたま立ち寄った郊外のモーテルで、若い女性の運命が狂い出す。名もない通り道のはずが、“見られている”感覚と奇妙な不協和音が積み重なり、観客はヒロインと一緒に不安の階段を降りていく。派手な怪物は出てこない。それでも、人間の心が作る地獄が最も怖いと知る。
切り返しとモンタージュ、そしてバーナード・ハーマンのスコア。露骨な暴力ではなく“見せないことで焼き付ける”演出が、イメージの残像を最大化する。白黒映像の冷たさが、皮膚感覚で刺さるのも本作ならでは。
ノーマン・ベイツの層の深さも圧巻。罪悪感、依存、抑圧が絡み合うキャラクター造形は、後のスラッシャーやサイコスリラーを決定的に変えた。ジャンルの出発点であり、今なおゴールであり続ける怪作だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:サイコホラー・スリラー
- 一言ポイント:「見せない恐怖で心を切り裂く──心理ホラーの教科書」

何度観ても“あの音”で手汗が止まらない。見えない刃が心に刺さる。

編集と音楽だけでここまで怖くできるのか…映画表現の限界突破。

スラッシャーの原点であり到達点。今観ても古びない完成度。
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サイコ [DVD]



鳥
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1963年 | アメリカ | 119分 |
映画紹介:
空から降ってくるのは祝福ではなく、災厄だった──。『鳥』は、日常の風景を突如として悪夢に変えた自然パニック映画の原点。ヒッチコックは怪物も殺人鬼も使わず、ただの「鳥」で人類を震え上がらせたのです。
舞台はカリフォルニアの小さな町。恋の駆け引きから始まる軽やかな物語は、突如として不穏な空気に飲み込まれていきます。数羽だった鳥が群れをなし、人を襲い、家や学校を蹂躙する。説明も理由もないその狂気は、「理解できない恐怖こそ最も恐ろしい」というヒッチコックの哲学を体現しています。
特殊効果は当時としては画期的で、実際の鳥と合成映像を巧みに組み合わせた演出は今観ても生々しい迫力を放ちます。「なぜ鳥は人を襲うのか」という謎を最後まで解き明かさないことで、観客の想像力に余白を与え、不安を永遠に持続させる仕掛けが見事です。
終わりなき恐怖を予感させるラストシーンは、現代のパニック映画に多大な影響を与えました。『ジョーズ』や『シャークネード』など、すべての動物パニックはここから始まったといっても過言ではありません。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:自然パニック・サスペンス
- 一言ポイント:「説明不能の恐怖──日常を崩壊させる原点的パニック映画」

鳥が襲ってくるだけなのに、ここまで怖いとは思わなかった…。

理由が説明されないからこそ不安が増す。終わり方も不気味すぎる。

CG全盛の今見ても迫力ある。やっぱり“巨匠”は演出の格が違う。
配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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鳥 [DVD]


フレンジー
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1972年 | イギリス | 116分 |
映画紹介:
ヒッチコック晩年の衝撃作『フレンジー』は、サイコスリラーの名手が最後に放った異様な切り口の快作です。ロンドンを舞台に、女性連続殺人事件が発生。絞殺魔の影に怯える街で、濡れ衣を着せられた男が逃亡を余儀なくされます。
序盤から観客を圧倒するのは、その生々しい暴力描写。ヒッチコック作品の中でも異例の直接的な残酷シーンが挿入され、「巨匠がここまでやるのか」と観る者を戦慄させました。それでいて、視点の切り替えやユーモアを忘れない語り口が、彼らしいブラックな風味を添えています。
無実の男が警察に追われるというプロットはヒッチコックの十八番ですが、『フレンジー』は単なるスリラーを超えています。人間の裏に潜む異常性と欲望を剥き出しに描き、都会の喧騒の中に不気味なリアリティを刻み込んでいます。
1970年代という時代性も相まって、それまでのヒッチコック作品より一歩踏み込んだ“露悪的サスペンス”。
巨匠が到達した“晩年の狂気”を体感できる一本です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:サイコスリラー・犯罪サスペンス
- 一言ポイント:「晩年のヒッチコックが描く、都会に潜む異常な狂気」

生々しすぎて正直直視できないシーンも…ヒッチコックらしからぬ衝撃。

サスペンスとしてはもちろん、人間の闇を覗き込む恐ろしさがある。

面白いけど後味が悪すぎる…。でもこれがヒッチコックの到達点なのかも。
配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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フレンジー [DVD]



見知らぬ乗客
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1951年 | アメリカ | 101分 |
映画紹介:
他人との“出会い”が、人生を破滅へと導く──。『見知らぬ乗客』は、偶然の邂逅が恐怖に転じるヒッチコックらしいサスペンスの傑作です。列車の中で出会った二人の男。片方が軽い冗談のように提案した「交換殺人」が、やがて現実のものとなっていきます。
異常なまでに社交的で執着心の強いブルーノと、善良ながらもその提案に巻き込まれていくガイ。「もしお互いの邪魔者を交換で殺せば、動機は消える」という倒錯した理屈が、観客をも共犯者にしてしまう仕掛けはヒッチコックならでは。
特に有名なのは遊園地のシーン。メリーゴーラウンドの暴走と絡み合ったクライマックスは、スピード感と不安が頂点に達する名場面です。日常の娯楽空間が一転して死の舞台へ変わる瞬間は、まさに恐怖の演出の真骨頂といえるでしょう。
狂気と無邪気が同居するブルーノのキャラクター造形は、後のサイコパス映画に多大な影響を与えました。人間関係のひずみが生み出すサスペンスの極致を堪能できます。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:心理スリラー・サスペンス
- 一言ポイント:「交換殺人という狂気の提案が観客をも巻き込む心理サスペンス」

ブルーノが怖すぎる…あの笑顔の裏に潜む狂気が忘れられない。

交換殺人なんて冗談のはずが…現実味を帯びる展開にゾクゾクする。

ヒッチコックの中でも一番不気味で現実に近い恐怖を感じた作品。
配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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見知らぬ乗客 [DVD]



ロープ
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1948年 | アメリカ | 80分 |
映画紹介:
死体はすぐそばにある──。『ロープ』は、密室劇と実験的手法を融合させた異色のサスペンス。ヒッチコックが挑んだのは、まるで舞台をそのまま撮影したような“ワンシーン・ワンカット”風の構成です。
二人の青年が「完全犯罪」を証明するため、友人を絞殺。その死体を隠したまま自宅でパーティを開きます。何も知らない客たちが食事や会話を楽しむ中、テーブル代わりにされた箱の中には死体が眠っている…。観客だけが真実を知っている緊張感が、シーンの隅々に張り詰めています。
ヒッチコックはカメラを巧みに移動させ、場面転換をほぼ排した映像を実現。制約の中での工夫が逆に“その場に閉じ込められている”感覚を強め、観客を共犯者のように巻き込みます。会話劇でありながら、不穏さは息苦しいほど。
知的実験とサスペンスの融合に賛否はあったものの、後の映画作家たちに大きな刺激を与えた問題作。単なるスリラーに留まらず、“映画で何ができるか”を突き詰めた挑戦の結晶です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:密室サスペンス・心理劇
- 一言ポイント:「死体を隠したままの食卓──観客を共犯にする密室スリラー」

テーブルの下に死体があると思うだけで、会話が全部不気味に感じる!

長回しの試みは少し退屈に感じる部分もあったけど、緊張感は本物。

映画的実験としても面白いし、ヒッチコックの挑戦心が伝わってきた。
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ロープ [DVD]



裏窓
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1954年 | アメリカ | 112分 |
映画紹介:
覗きはスリルか、それとも地獄の入口か──。『裏窓』は、日常の延長に潜む恐怖を描き出したサスペンスの傑作です。足を骨折してアパートに閉じ込められたカメラマンが、窓越しに隣人たちの生活を観察するうちに、一人の男の不可解な行動に気づきます。
ただ眺めているだけのはずが、「本当に殺人が行われたのか?」という疑念がふくらみ、観客までもが主人公と同じ立場に立たされます。動けない状況での不安、そして「覗いてはいけないものを覗いてしまった」感覚が、強烈なスリルを生み出します。
窓の向こうに広がるセットは、まるで一つの小宇宙。人間模様が次々と描かれる中で、じわじわと中心へ収束していく不穏な気配が巧みに仕掛けられています。“監視する側が監視される”という逆転の恐怖は、現代のスリラーやホラーにも脈々と受け継がれています。
「視線」を武器にサスペンスを極限まで高めた本作は、ヒッチコックの演出哲学を象徴する一本。のぞき見の罪悪感と、真相を暴きたい欲望の狭間で揺れる心理を、見事に突きつけてきます。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:シチュエーションスリラー・心理サスペンス
- 一言ポイント:「“見る”ことが恐怖に変わる──サスペンス演出の金字塔」

窓の向こうの生活がリアルすぎて、本当に覗いてる気分になった。

動けない恐怖と“見られているかも”という逆転がめちゃくちゃ怖い!

サスペンスとして完璧。今の監視社会を予言していたかのように鋭い。
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裏窓 [DVD]



めまい
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1958年 | アメリカ | 128分 |
映画紹介:
愛は救いか、それとも呪いか──。『めまい』はヒッチコックが自身の最高傑作と認め、映画史上でも屈指の評価を受ける心理サスペンスです。物語の中心にあるのは、人間の心に潜む執着と幻想、そして堕ちていく狂気。
高所恐怖症を抱える元刑事スコッティは、友人に依頼されて妻の行動を尾行することになります。美しく謎めいた彼女にのめり込むうちに、やがて“現実と幻想の境界が崩れていく”。それは恋か、それとも狂気か──観客もまたスコッティと一緒に迷宮へ引きずり込まれていきます。
映像的にも革新的で、「めまいショット」と呼ばれるカメラワークは今なお多くの映画で引用されるほど有名。サンフランシスコの街並みを舞台にした美しい色彩と、不穏な音楽が観客の心をじわじわと蝕みます。
ラストに至るまでの展開は、サスペンスでありながらも悲劇のラブストーリーそのもの。愛するがゆえに壊れていく人間心理をここまで徹底して描いた作品は、今なお唯一無二といえるでしょう。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:心理サスペンス・ラブスリラー
- 一言ポイント:「愛と執着の果てに待つのは破滅──心理サスペンスの極致」

ラストの切なさが心に残る。恐怖よりも胸が締めつけられた。

幻想と現実の境界がわからなくなる演出がすごすぎる…。めまいショットも圧巻。

愛がここまで狂気に変わるのか、と観るたびにゾッとする名作。
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めまい [DVD]



私は告白する
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1953年 | アメリカ | 95分 |
映画紹介:
沈黙は美徳か、それとも罪か──。『私は告白する』は、ヒッチコックが宗教的テーマに挑んだ異色のサスペンスです。舞台はカナダ・ケベック。ある夜、神父マイケルのもとに殺人を犯した男が告解に訪れます。告解の守秘義務のため、マイケルは真実を語れないまま事件の容疑者として追い詰められていきます。
観客は最初から犯人を知っているのに、神父が口を閉ざすことで物語が進む。この「知っているのに止められない」状況が独特の緊張感を生み出します。沈黙という選択が彼自身を破滅へ導く皮肉は、信仰と人間の弱さを鋭く突きつけます。
ヒッチコックらしいトリックや大仕掛けは少ないものの、内面的な葛藤を正面から描いたサスペンスとして異彩を放つ一本。孤独に追い込まれていく神父の姿には、恐怖というよりも強烈な「圧迫感」がまとわりつきます。
派手さはなくとも、テーマの深さと緊張感で観る者を釘付けにする硬派な作品。
“口を開けないことの恐怖”を描いたサスペンスの隠れた佳作です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:心理サスペンス・宗教スリラー
- 一言ポイント:「沈黙が人を追い詰める──信仰と恐怖が交差する異色サスペンス」

アクションは少ないけど、沈黙の重みがずっしり来るサスペンスだった。

守秘義務がここまで人を追い詰めるなんて…設定自体がすでに恐怖。

派手さはないけど、テーマ性の強さは他のヒッチコック作品以上に深い。
配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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私は告白する 特別版 [DVD]



舞台恐怖症
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1950年 | イギリス | 110分 |
映画紹介:
華やかな舞台の裏には、嘘と恐怖が渦巻いている──。『舞台恐怖症』は、劇場を舞台に繰り広げられる人間関係と心理戦を描いたヒッチコックのサスペンス作品です。華やかな世界の裏側に潜む不安と欺瞞を描くことで、観客をじわじわと不穏な空気に引き込んでいきます。
物語は、俳優志望の女性イヴが殺人容疑者をかくまうことから始まります。事件の真相を探るため、彼女は舞台女優に接近しますが、次第に嘘と真実の境界が曖昧になり、「誰が何を隠しているのか」という疑念が増幅していきます。
本作は“語り”の使い方でも有名で、物語の途中で語られるある回想が、実は観客を欺くための仕掛けであることが明かされます。「映像そのものが嘘をつく」という実験的手法は、ヒッチコックの遊び心と挑戦が詰まった大胆な演出でした。
華やかな舞台という非日常の空間を背景に、人間関係の緊張感と心理的圧迫が交差する本作は、派手なサスペンスではないものの、人の心が織りなす恐怖を巧みに描いた隠れた佳作です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:心理サスペンス・舞台スリラー
- 一言ポイント:「舞台の華やかさと嘘の心理戦が交差する異色のサスペンス」

序盤はちょっと地味だけど、真相が見えてくると一気にゾクッとした。

回想が嘘だったと分かる演出にびっくり!映像でここまで騙されるとは。

派手なサスペンスではないけど、静かな心理戦が好きな人には刺さる。
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舞台恐怖症 [DVD]



レベッカ
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1940年 | アメリカ | 130分 |
映画紹介:
姿なき“前妻”が、屋敷の空気を支配している──。『レベッカ』は、ゴシックなムードと心理サスペンスが結晶化した名作。ヒッチコックのハリウッド第一作にしてアカデミー作品賞を受賞した一本です。
若く内気な主人公が大富豪マキシムと結婚し、彼の邸宅マンダレーに迎えられる。しかしそこで語られるのは、亡き前妻レベッカの完璧な記憶。家政婦ダンヴァース夫人の冷たい視線と執拗な崇拝が、“見えない幽霊”を現前させる。実体はないのに、どの部屋にも、どの会話にもレベッカの影が差し込む。
本作の怖さは、怪異ではなく〈比較されること〉にある。美と教養で伝説化された前妻像に押し潰され、自己を見失っていく新妻。豪奢な屋敷、階段、カーテンの揺れ…美術と照明が生む陰影が、嫉妬と劣等感の“心霊写真”を焼き付ける。
真相が反転する終盤は、恋愛劇からサスペンスへの鮮やかな横滑り。ゴシックロマンスの装いで、支配と記憶、そして罪を問う。派手な恐怖ではないが、じわじわと胸を締め付ける“心理ホラーの源流”です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:ゴシックサスペンス・心理スリラー
- 一言ポイント:「見えない“前妻”に支配される──陰影が紡ぐ心理ホラーの古典」

幽霊は出ないのに、屋敷全体がレベッカの“気配”で満ちているのが怖い。

ダンヴァース夫人の視線が刺さる…彼女だけでホラー級の緊張感。

終盤の“真実”で物語が反転。切なさと恐さが同時に押し寄せた。
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レベッカ [DVD]



ダイヤルMを廻せ!
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1954年 | アメリカ | 105分 |
映画紹介:
電話が鳴る──それは合図であり、死刑宣告でもあった。元テニス選手のトニーは、妻マーゴットの財産を狙い完全犯罪を計画する。旧知の男を脅迫し、「決められた時刻に電話が鳴ったら彼女を殺せ」と指示。舞台はほぼ一室、凶器はハサミと“鍵”、そして呼び出し音だ。
しかし計画は想定外の一刺しで崩れ、トニーは即座にプランBへ移行。現場の状況を“整え直し”、アリバイと証拠の向きをねじ曲げる冷徹さに背筋が凍る。以降はヒロインの無実と、周到すぎる罠の綱引き。観客は電話のベル音に条件反射で身構えるようになる。
醍醐味は終盤のロジック合戦。名物の“鍵の入れ替え”トリックと、執拗な状況検証を重ねるハバード警部の手並みが、密室劇の快感を極限まで高める。3D上映を想定した画作りも相まって、狭い部屋の奥行きと圧迫感がサスペンスを増幅。
音も光も会話も、全てが刃物になる。派手な追走はないが、“一手の誤算”が人生を破壊していく恐怖を、これほど鮮やかな構図で見せきった作品は稀だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:犯罪サスペンス・密室スリラー
- 一言ポイント:「呼び出し音と鍵が運命を分ける──知能戦サスペンスの古典」

電話のベルが鳴るだけで心臓が跳ねる…密室の緊張感がエグい。

鍵トリックの明かし方が見事。論理で追い詰める爽快感まである。

派手さはないけど、会話と配置だけでここまで面白くなるのはさすが。
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ダイヤルMを廻せ [DVD]



泥棒成金
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1955年 | アメリカ | 106分 |
映画紹介:
陽光きらめく南仏リヴィエラで、宝石と視線と駆け引きが交錯する──。『泥棒成金』は、ヒッチコックのエレガンスが頂点に達したロマンス・サスペンス。かつて“猫(キャット)”の異名で恐れられた元宝石泥棒ジョン・ロビー(ケイリー・グラント)は、街を騒がす模倣犯の出現で容疑者に。潔白を証明するため、彼は自ら“獲物”と“犯人”を追い始める。
そこへ現れるのが、謎多き富豪令嬢フランシー(グレース・ケリー)。誘惑と疑惑が表裏一体の会話劇、海岸線のドライブ、花火と仮面舞踏会──ロマンスの甘さの中に、常に“盗まれる予感”が流れているのがヒッチコック流。視線の配分と小道具(宝石・鍵・仮面)が、無音のまま物語を前へ押し出す。
アクションは控えめでも、“誰の手が伸びるのか”という期待と不安が張りつめる。屋根の上の追走や、カーテン越しの影といった“見せるサスペンス”が、犯罪劇をきらびやかなゲームへと昇華。陽光すらトリックの一部にしてしまう演出に、巨匠の余裕が宿る。
ホラー度は低めだが、正体不明の相手に心も宝石も奪われるかもしれないという不安は十分に“怖い”。洒脱さとサスペンスのバランスが見事な、ヒッチコックの“軽やかな毒”を味わう一本だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:ロマンス・サスペンス
- 一言ポイント:「地中海の陽光に潜む影──恋と盗みの駆け引きが冴え渡る」

ケイリー・グラント×グレース・ケリーの並びだけで気品が溢れる。洒脱なサスペンス!

花火と仮面のシーンは名場面。ロマンスがそのまま罠に見えるのが巧い。

ホラー要素は薄いけど、“盗まれる予感”の緊張で最後まで引っ張られる。
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泥棒成金 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]


海外特派員
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1940年 | アメリカ | 120分 |
映画紹介:
戦争の足音が迫るヨーロッパで、真実は常に誰かの手で書き換えられている──。新聞社の臨時特派員ジョニー・ジョーンズが、表向きは平和会議の陰で進むスパイ網に迷い込み、やがて国家機密と暗殺計画の渦中に飛び込んでいく。『海外特派員』は、取材の興奮をそのままサスペンスへ転化させた疾走系ヒッチコック。
名場面は雨傘の海で起こる惨劇と、オランダの風車小屋に隠された“真実”。回転の向きや陰影といった視覚的サインで、観客にだけ情報をそっと渡す演出が冴え渡る。事件の核にいるのは、失踪した外交要人と、その背後で糸を引くスパイ組織だ。
ロマンスとユーモアを織り込みつつ、列車、屋根、会議場を縫うように展開。クライマックスの大西洋上の航空機墜落は、巨大セットと特殊撮影で押し切る圧巻のスリルだ。報道=言葉の力と、スクリーン=映像の力が共鳴して鼓動を速める。
プロパガンダ色がにじむ時代作でも、サスペンスの精度は一切落ちない。
取材メモを武器に世界の陰謀へ挑む“記者ヒーロー”像は、今見ても胸が熱くなる。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:スパイサスペンス・戦時スリラー
- 一言ポイント:「雨傘の暗殺と風車の謎──報道がスリルに火をつける疾走劇」

風車の“回転”を手がかりにする見せ方が最高。観客だけが気づく快感!

報道×サスペンスの相性が抜群。テンポよく進んで飽きさせない。

戦時色は強いけど、ヒッチコックの演出が普遍のスリルに昇華してる。
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海外特派員 [DVD]



逃走迷路
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1942年 | アメリカ | 109分 |
映画紹介:
濡れ衣を着せられた瞬間から、アメリカ横断の逃避行が始まる──。『逃走迷路』は、造船工場の爆破事件で容疑者にされた青年が、真犯人の黒いネットワークを追いかけながら逃げ続ける“逃亡サスペンス”の原点。出会った人々の善意と猜疑、偶然と選択が、ナイフの刃先のような緊張でつながる。
ヒッチコックは移動のダイナミズムをサスペンスの推進力に変える名手。本作でも、列車、トラック、ショーのキャラバン隊、都会の雑踏を縫うように、視点の移動=危機の更新を重ねていく。とりわけ旅芸人たちの一幕は、社会の周縁にいる人々のユーモアと優しさが胸に残る名場面だ。
そしてクライマックスは、映画史に刻まれた自由の女神像での対決。地上の喧騒が遠のく高所で、一本の手、一本の袖口、一本のネジが運命を決める。巨大なシンボルの上で個人の正義が試される構図は、時代の不安と見事に共鳴している。
戦時という背景が物語を押し出すが、プロパガンダを超えて“疑いと信用”のスリルが貫かれる一本。走り続けることでしか真実に近づけない、逃亡劇の醍醐味を堪能できる。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:逃亡サスペンス・スパイスリラー
- 一言ポイント:「自由の女神で手に汗──走り続けることで真実に迫る古典」

自由の女神のクライマックスは何度見ても手汗。一本の手の重みがエグい!

移動し続けるテンポが最高。旅芸人一座のくだり、あの温かさが効いてる。

時代色は強いけど、“信じる/疑う”のサスペンスは今でもまったく古びない。
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疑惑の影
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1943年 | アメリカ | 108分 |
映画紹介:
小さな町に帰ってきた“理想の叔父”は、本当に理想なのか──。『疑惑の影』は、家庭という最も安全な場所に、最も不穏な影が差し込むヒッチコックの“家庭スリラー”の頂点。カリフォルニア州サンタローザに住む少女チャーリーは、敬愛する叔父チャーリーの挙動にわずかなほつれを感じ始める。
優雅な物腰、冗談、贈り物。どれも温かいはずなのに、会話の端々に滲む女性蔑視と死への観念が、じわじわと空気を冷やしていく。やがて指輪の刻印や新聞記事の切り抜き、ワルツの旋律が一つの像を結ぶにつれ、チャーリーの世界は静かに崩れ始める。
ヒッチコックは日常の光を最大限に明るく照らし、その明るさで影を濃くする。食卓、リビング、階段──家庭の動線すべてが“罠”に変わる構図の巧みさはため息もの。観客は若いチャーリーと同じ視線で、真実に触れてはいけない感覚と戦うことになる。
暴力や流血に頼らず、信頼が剥がれていく音だけで恐怖を作り上げた古典。スリラーであり、少女の通過儀礼でもある。無垢が経験に変わる瞬間の痛みが、ラストまでひりひりと残る。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:家庭スリラー
- 一言ポイント:「最も近い場所に潜む怪物──家庭の温度が一気に凍る」

食卓の会話が急に怖くなる瞬間…“家”の空気が冷えるのがわかる。

指輪やワルツの伏線が繋がる時のゾッとする感覚、これぞヒッチコック。

派手じゃないのに後味が強烈。無垢が壊れる瞬間を見た気がした。
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疑惑の影 [DVD]



北北西に進路を取れ
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1959年 | アメリカ | 136分 |
映画紹介:
“間違えられた男”がアメリカ大陸を縦断する──。広告マンのロジャーは、正体不明のスパイに誤認され、拉致・毒殺未遂・濡れ衣と災難続き。『北北西に進路を取れ』は、誤認・追跡・逃亡を極限まで洗練させたスパイスリラーの最高峰です。
目玉は、人気のない農地で主人公を襲う“無人の空”からの殺意(プロペラ機の急襲)と、モニュメントの頂で繰り広げられるクライマックス。記念碑の荘厳さと人体の危うさがせめぎ合う構図は、ヒッチコックの“地理で恐怖を設計する”美学の結晶です。
ロマンスの火花もスリルの一部。謎めいた美女と列車で交わす会話は、甘さと疑念が同居し、視線と暗号だけで物語を加速させる。軽妙なユーモア、錯綜する身分、入れ替わる立場──テンポの快楽が2時間超を一気に駆け抜けます。
暴力の露出に頼らず、“どこにも安全地帯がない”感覚で観客の心拍を上げ続ける傑作。ヒッチコックを初めて観る人にも、映画の快楽が何かを教えてくれる一本です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:スパイスリラー・逃走劇
- 一言ポイント:「誤認から始まる疾走──地理とサスペンスで鼓動を操る名作」

畑道に一人きりの静寂から、飛行機が迫る瞬間の絶望…映画史級の名場面!

ロマンスとスリルの配合が完璧。会話だけで疑いが増幅していくのが快感。

ホラーではないのに手汗が止まらない。“安全地帯なし”の設計がえぐい。
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北北西に進路を取れ 特別版 [DVD]



三十九夜
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1935年 | イギリス | 86分 |
映画紹介:
パブでの出会いが、国家レベルの陰謀へと繋がっていく──。ロンドンのごく普通の男ハネイが、謎の女スパイの死をきっかけに濡れ衣を着せられ、スコットランド高地まで逃げに逃げる。『三十九夜』は、“間違えられた男の逃走”というヒッチコックの定番を確立した初期代表作だ。
列車での追跡、霧の荒野、即興の演説、そして手錠で繋がれた男女の珍道中──移動がそのままサスペンスのリズムになる編集が冴え、追われるごとに情報が一つずつ明るみに出る快感が止まらない。キーワードは「三十九段」。それが人か、場所か、暗号か…観客はハネイと同じ視界で推理を重ねる。
素早い場面転換とユーモアは、後年の『北北西に進路を取れ』にも通じる原型。スパイ組織の冷たさと、田舎で出会う人々の温かさの対比が効いていて、“世界の陰謀と個人の機転”というヒッチコックのテーマが鮮明に刻まれる。
80分台とは思えない密度で、エンタメとミステリーを一気に駆け抜ける古典。
ここから“逃走スリラー”の血脈が始まったと言っていい。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:逃走・スパイスリラー
- 一言ポイント:「濡れ衣→逃亡→真相──ヒッチコック式スリラーの原点」

移動がそのまま物語を加速させる快感!80分台でここまで満腹感あるのすごい。

手錠で繋がれたままのやり取りが最高。ロマンス×逃走の原型ってこれだよね。

派手なアクションは少ないのにずっと緊張してた。編集のテンポが神。
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三十九夜 [DVD]



知りすぎていた男
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1956年 | アメリカ | 120分 |
映画紹介:
休暇先のモロッコで“国家機密”が耳に落ちた瞬間、家族は標的になった──。『知りすぎていた男』(1956)は、ヒッチコックが自作(1934)をセルフリメイクし、スケールと緊張を大幅に引き上げた誘拐サスペンス。偶然、暗殺計画を知ってしまった夫妻は、口封じのため息子をさらわれ、ロンドンで孤独な奪還戦に挑む。
見どころはロイヤル・アルバート・ホール。シンバルの一打に合わせて放たれる銃弾──音楽のクレッシェンドと殺意が同期する名シークエンスは、台詞を排し“視線とリズムだけ”で観客の呼吸を奪う。誰もが見ているのに、誰も気づかない。この無力感こそが本作の恐怖だ。
さらに自宅侵入の息詰まる攻防、そして有名な「ケ・セラ・セラ」の場面。母の歌声が“居場所の合図”へと反転し、ドラマとサスペンスが一点で結実する。家族の絆を“道具”として使う誘拐犯に対し、夫婦は理性と機転でじわじわ包囲網を崩していく。
暴力描写は控えめでも、公的空間の荘厳さがそのまま恐怖の装置に変わる設計が見事。情報を知った代償と、親としての選択──“知りすぎた”者だけが踏み抜く地雷原を、最後まで緊張の糸を切らずに走り抜ける名作だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:誘拐サスペンス・スパイスリラー
- 一言ポイント:「音楽と暗殺が同期する瞬間──“家族”を懸けた救出劇」

「ケ・セラ・セラ」で涙腺やられた…サスペンスなのに親子ドラマが熱い。

アルバート・ホールの“無言の緊張”がすごい。シンバル一撃まで息止まる。

派手じゃないのに手汗。公的な空間が一気に恐怖のステージに変わる。
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知りすぎていた男 [DVD]



断崖
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1941年 | アメリカ | 99分 |
映画紹介:
恋は盲目、疑いは毒──。『断崖』は、理想の結婚が疑念に蝕まれていく心理サスペンス。大富豪の娘リナ(ジョーン・フォンテイン)は、華やかで魅力的な紳士ジョニー(ケイリー・グラント)と結婚するが、彼の浪費癖や嘘、怪しい金の出所が次々と露呈。やがてリナの脳内で、「彼は私を殺すつもりでは?」という不安が肥大していく。
象徴的なのが階段を上る“光るミルクのグラス”。無垢の白が不穏に発光し、愛と死が同じトレイに乗っているかのような戦慄を生む。ヒッチコックは台詞よりも物の質感や動線で不安を設計し、リナの主観に寄り添うカメラで疑念の増幅を可視化する。
本作は当時の制作事情もあって結末が軟化したことで知られるが、その結果として「事実」と「想像」の境界がより曖昧に。観客はリナの内的恐怖を体験する立場に固定され、愛情の温度が一気に冷える瞬間のゾクッとする感覚が残る。
流血はない。だが、信頼が崩れる音だけでここまで怖くできる──。恋と疑いの化学反応を、スター二人の存在感で極上のスリルへ昇華した一本だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:スパイスリラー・心理サスペンス
- 一言ポイント:「光るミルクが告げる不安──愛か殺意か、境界線のサスペンス」

真相がはっきりしないからこそ怖い。疑いが心を食っていく感じがリアル。

ミルクのショット、シンプルなのに悪夢みたい。物の置き方だけで不安に。

派手さはないけど、二人の眼差しの応酬だけでずっとドキドキしてた。
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間違えられた男
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1956年 | アメリカ | 105分 |
映画紹介:
“誤認”は一瞬、地獄は長い──。ニューヨークのベーシスト、マニー(ヘンリー・フォンダ)は、保険会社の強盗事件で容疑者にされ、見知らぬ証言と曖昧な筆跡鑑定に追い詰められていく。『間違えられた男』は、実在の冤罪事件を基にしたヒッチコックの異色作で、警察・司法手続きそのものを恐怖装置に変える。
取調室の裸電球、指紋採取の冷たさ、留置場に収められる瞬間のカメラの傾き──装飾を排したドキュドラマ的演出が、“無実でも逃れられない”圧迫を増幅する。容疑を裏づけるはずの証拠が、すべて「そう見える」に過ぎない不条理。観客は手順通りに進む事務的な恐怖に息を詰める。
もう一つの矢は家庭に刺さる。妻ローズ(ヴェラ・マイルズ)は不安と罪責感に耐え切れず崩れていく。“冤罪が家族を病ませる”という現実は、刃物よりも静かに深く刺さる。ヒッチコックが冒頭で自ら語りかけるプロローグも特異で、「これはいつものサスペンスではない」と宣言する。
派手な追走もトリックもない。それでも、カメラが記録するのは確かな悪夢だ。
社会システムの隙間に落ちた“普通の人”の恐怖を、冷徹な現実味で刻みつける。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:実録サスペンス・司法スリラー
- 一言ポイント:「手続きが悪夢に変わる──“無実”を証明できない恐怖」

派手さゼロなのに胃が痛い…“手順通り”がこんなに怖い映画は初めて。

証言と筆跡の曖昧さが積もるだけで絶望が完成するの、現実味がやばい。

妻が壊れていく描写がつらい…冤罪が家族をも壊す事実を突きつけられた。
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間違えられた男 [Blu-ray]



引き裂かれたカーテン
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1966年 | アメリカ | 128分 |
映画紹介:
冷戦の霧が濃い時代、真実は“亡命”の仮面をかぶって現れる──。アメリカ人科学者マイケル(ポール・ニューマン)は、東側へ寝返ったと見せかけて東独に渡り、ロケット防衛に関する極秘理論を握るリント教授に接近する。『引き裂かれたカーテン』は、偽装亡命=二重の演技が生む心理的緊張を、抑制された筆致で積み上げる冷戦スリラーだ。
ヒッチコックが徹底するのは「暴力の現実味」。有名な農家の台所での攻防は、銃も派手な音楽もない。人を“本当に”殺すことがどれほど困難で惨めかを、息切れと物音、重さの感触で刻みつける。観客はスパイの華やかさではなく、仕事の泥臭さに直面することになる。
さらに、思いがけず同行してしまう恋人サラ(ジュリー・アンドリュース)の存在がサスペンスを複層化。任務と愛情、国家機密と私的感情──二人の視線がすれ違うたびに“カーテン”は引き裂かれ、脱出劇はより危険な綱渡りへと変わっていく。
派手なガジェットは最小限。だが検問、密告、監視の網をくぐり抜ける一手一手が、観客の鼓動を確実に上げる。
理屈と駆け引きで進む、静圧型のヒッチコックを味わえる一篇だ。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:冷戦スリラー・スパイサスペンス
- 一言ポイント:「偽装亡命の心理戦──“現実の暴力”を骨身で感じる冷戦劇」

台所の攻防が忘れられない…音と重さだけでこんなに恐ろしくなるのか。

派手さは薄いけど、検問や監視の“圧”がずっと喉に詰まっている感じ。

ニューマン×アンドリュースの緊張関係が効いてる。恋と任務のせめぎ合い。
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トパーズ
公開年 | 制作国 | 上映時間 |
---|---|---|
1969年 | アメリカ | 143分 |
映画紹介:
冷戦の暗がりで、真実は三度衣を替える──。『トパーズ』は、キューバ危機前後の国際情勢を背景に、欧米の諜報機関と政治の腹の内をえぐる群像型スパイスリラー。亡命者の情報からソ連の動きを掴み、ニューヨーク、ハバナ、パリと連鎖する調査の果てに、フランス政界に巣食う内通網“トパーズ”の輪郭が露わになっていく。
派手なガジェットは少なく、会話・視線・書類がそのまま凶器になる設計。ホテルの廊下、会議室、ダイニング──生活空間のレイアウトで緊張を組み上げるのがヒッチコック流だ。特にハバナ・パートの一幕は、上空から“静止した時間”を切り取るショットで観客の呼吸を止める名場面。
多拠点を行き来するダイナミズムに加え、誰が誰のために動いているのかという忠誠の入れ替わりがミステリーとして機能。政治サスペンスゆえの“乾き”はあるが、史実の影と個人の選択が交差する瞬間に、巨匠らしい冷徹なスリルが立ち上がる。
スパイ戦の華やかさより、国家と個人の距離が生む陰鬱を噛みしめる一本。淡々と進む分、真相が線で結ばれたときの背筋の冷え方が心地よい。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:スパイ・政治サスペンス
- 一言ポイント:「キューバ危機の影に潜む“内通網”──冷たい知略が交錯する群像劇」

テンポは抑制的だけど、点が線になる終盤のゾクッと感が気持ちいい。

ガジェット任せじゃない“書類と視線”のサスペンス。政治の乾きが逆に効く。

俯瞰の“静止ショット”は忘れがたい。音が消える瞬間に心臓が鳴る。
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トパーズ [DVD]


知的なサスペンスを体験するなら、U-NEXTで

『サイコ』『裏窓』『間違えられた男』といった、ヒッチコックの名作サスペンスも、U-NEXTでは多数ラインナップされています。
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ヒッチコックの映画が今なお恐ろしいのは、凶器や流血ではなく、想像力を刺激する“余白”にあります。視線のズレ、沈黙の1秒、誰かの足音──日常の微かな違和感を拡大することで、観客は否応なく不安に取り込まれていきます。
彼のサスペンスは、編集と音、構図と距離の積み重ねで心拍を操るのが特徴。“見えるもの”より“見えないもの”を信じさせる演出は、時代が変わっても古びることがありません。
今回の22本は、その美学を体験するための決定版ラインナップ。初めての人は『裏窓』『北北西に進路を取れ』『めまい』から、さらに深掘りしたい人は『ロープ』『間違えられた男』『フレンジー』へ。上品で残酷な“想像の恐怖”をぜひ味わってください。