血でも幽霊でもない──クローネンバーグが描く恐怖は、「人間の肉体そのもの」に潜んでいます。
テクノロジーと肉体が融合し、皮膚が機械に、臓器が芸術になる。
観る者は「これは人間なのか?」という根源的な問いに突き落とされるでしょう。
今回は、カナダが生んだ鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督のおすすめ映画10選を厳選。
『ヴィデオドローム』『ザ・フライ』『クラッシュ』など、狂気・欲望・変態美学が凝縮された名作を中心にご紹介します。
人間の進化と崩壊の境界を見たいなら──クローネンバーグの世界へようこそ。
・デヴィッド・クローネンバーグの代表作や作風を知りたい人
・グロテスクで知的、そして哲学的なホラーが好きな人
・肉体変容や人間の異常心理を描いた作品に惹かれる人
デヴィッド・クローネンバーグ映画おすすめ10選|肉体と精神をえぐる“変態美学”の巨匠

| タイトル | ジャンル | 怖さ |
|---|---|---|
| ヴィデオドローム | メディア・肉体変容 | |
| ザ・フライ | 変身・悲劇ホラー | |
| スキャナーズ | 超能力・サイキック | |
| ラビッド | 感染・パニック | |
| クラッシュ | 官能・狂気 | |
| イグジステンズ | SF・仮想現実 | |
| デッドゾーン | 予知・サスペンス | |
| ヒストリー・オブ・バイオレンス | 暴力・アイデンティティ | |
| イースタン・プロミス | クライム・ドラマ | |
| クライムズ・オブ・ザ・フューチャー | SF・人体芸術 |
ヴィデオドローム
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1983年 | カナダ | 89分 |
映画紹介:
テレビの電波が、人間の肉体と精神を“書き換える”。『ヴィデオドローム』は、メディアと欲望の関係を、肉体変容というクローネンバーグの真骨頂で可視化した異形の傑作です。低俗番組の放送権を狙うTV局社長マックスが、違法電波「ヴィデオドローム」と接触した瞬間から、現実は歪み、皮膚は口を開き、スクリーンは人体へと侵入していきます。
印象的なのは、メディア装置(VHS・カメラ・テレビ)が生体のように脈打ち、人の身体に取り込まれていくイメージの連続。情報が肉体へ侵攻する悪夢は、現代のアルゴリズム社会を予言したかのよう。暴力的映像への嗜癖、視聴と被視聴の快楽、陰謀論的な支配構造──全てが“いま”に通底する鋭さを放ちます。
ゴア描写は強烈でも、狙いは単なる残酷ショーではありません。「欲望は誰のものか?」という倫理の問いが、官能と恐怖の境界で観客に返ってくる。ジェームズ・ウッズの狂気がかった演技、デボラ・ハリーの退廃的な魅力、リック・ベイカーによる特殊効果の手触りが、薄汚れた未来図を圧倒的説得力で結晶化します。
“長く生きろ、ヴィデオドロームに栄光あれ”。
この呪文のようなフレーズが示すのは、人が映像に飲み込まれる時代の到来。見る行為そのものが危険と快楽を孕むことを、これほど官能的に描いた作品は他にありません。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:メディア陰謀・肉体変容サスペンス
- 一言ポイント:テレビが“臓器”になる。快楽と洗脳が交差するメディア悪夢譚。

画面が身体に侵入してくる感覚…見終わってもしばらく現実がゆがむ。

粘膜感がエグいのに理屈は鋭い。気持ち悪さと知性が同時に攻めてくる。

80年代にここまで先見的な“情報と身体”を描いたの、やっぱ天才。
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ビデオドローム [DVD]



ザ・フライ
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1986年 | アメリカ | 96分 |
映画紹介:
科学の夢が、最悪の悪夢へと変わる──。『ザ・フライ』は、肉体変異をテーマにしたボディホラーの金字塔。クローネンバーグ監督によるこの名作は、ただのグロ映画ではありません。人間の尊厳と愛、そして崩壊していく自我を描いた、壮絶なラブストーリーでもあります。
主人公は天才科学者のセス。彼が開発した「テレポッド」は物質を転送する装置だったが、ある実験でハエと同時に転送されたことで、少しずつハエと融合していく地獄が始まります。その変化は皮膚、筋肉、性格、そして心にまで及び、観る者に“自分が壊れていく”恐怖を突きつけます。
メイクと特殊効果は今見ても強烈。皮膚がただれ、歯が抜け、肉体が再構築されていく様は圧巻の一言。しかし本作の核心は、それでもなお彼を愛し続ける女性の視点にあります。変わってしまった彼と、どう向き合うのか──。
グロさと切なさが同居する傑作ボディホラー。“愛する人が変わっていく”という怖さを、ここまで真正面から描いた作品は他にありません。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:変身・悲劇ホラー
- 一言ポイント:「愛する人が“人間でなくなる”瞬間の恐怖と美しさ」

ただのグロ映画かと思ったら、後半泣いた…これはラブストーリーだ。

変わっていく過程がリアルすぎてゾワゾワする。メイク技術すごすぎ。

クローネンバーグ作品の中でも一番好き。テーマもエモさも強い。
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ザ・フライ (特別編) [DVD]



スキャナーズ
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1981年 | カナダ | 103分 |
映画紹介:
脳が爆発する──この衝撃シーンで世界を騒然とさせた『スキャナーズ』。クローネンバーグの出世作にして、超能力を“身体的な暴力”として描いた問題作です。静かで冷たい映像の中に、目に見えない力が肉体を破壊する不気味さが漂います。
物語は、他人の思考を読み、支配できる能力を持つ「スキャナー」たちの戦い。彼らは政府の陰謀や企業の秘密実験に巻き込まれ、精神と肉体の限界を超える戦いに突入します。テレパシーという見えない攻撃が、頭蓋骨を砕き、血を噴き出させる描写は当時の観客にトラウマを与えました。
クローネンバーグが本作で提示したのは、単なる超能力バトルではなく、“進化の副作用”としての異能。テクノロジーと精神が共振する瞬間、肉体は制御を失い、破滅を迎える──そのテーマは後の『ヴィデオドローム』や『ザ・フライ』へと連なる原点でもあります。
血と静寂が共存する、異様なテンションのサイキックホラー。80年代カナダ映画の狂気がここに凝縮されています。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:超能力・サイキックホラー
- 一言ポイント:「脳が爆発する衝撃──“精神”そのものを武器にしたホラーの原点」

あの頭部爆発シーン、今見てもショックで鳥肌…。実写エフェクトの説得力すごい。

“見えない攻撃”の恐ろしさをここまで体感的に描いた映画は他にない。

超能力の代償として壊れていく人間。SFとホラーの境界が溶けていく感覚が最高。
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スキャナーズ リストア版 [DVD]



ラビッド
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1977年 | カナダ | 91分 |
映画紹介:
クローネンバーグ初期の代表作『ラビッド』は、感染と肉体変容をテーマにしたパニックホラーの原点です。整形手術中の事故で重傷を負った女性ローズが、奇妙な治療を受けたことをきっかけに、人を襲い血を吸う“新しい感染者”となってしまう──。彼女の体には脇腹から伸びる触手のような器官が生え、接触した者を次々と感染させていきます。
血に飢えたローズは被害者であり加害者。治療=感染という逆転した構造の中で、医学の進歩がいかに暴力的で、人間の倫理を侵すものかを鋭く描き出します。やがて都市は混乱に陥り、政府の対応も崩壊。まるで社会全体がウイルスのように拡大していく不気味さは、現代にも通じる恐怖です。
低予算ながらも、クローネンバーグ独特の“湿った生理的恐怖”が満ちており、女性の身体が未知の欲望と変異の舞台として描かれます。これは単なるゾンビ映画ではなく、生命科学の裏に潜むモラルの崩壊を見つめる哲学的ホラーなのです。
『ヴィデオドローム』や『ザ・フライ』の原型ともいえる、「科学が人間を超えてしまう瞬間」を描いた重要作。クローネンバーグの変態美学はここから始まりました。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:感染・パニックホラー
- 一言ポイント:「科学が生んだ“新たな感染”──女性の身体が恐怖の発信源になる」

70年代なのにこの発想、今見ても不気味。クローネンバーグの狂気の出発点だと思う。

医療が救いじゃなくて感染を広げるって設定が皮肉すぎる。怖いのに妙に現実的。

人間の身体ってここまでグロテスクにも美しくもなるんだな…と妙に納得してしまう。
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ヒストリー オブ バイオレンス [DVD] デイヴィッド クローネンバーグ 監督 セル版



クラッシュ
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1996年 | カナダ/イギリス | 100分 |
映画紹介:
交通事故に性的興奮を覚える人々──。この異常なテーマを、真剣に、そして耽美に描き切ったのが『クラッシュ』です。クローネンバーグが一貫して探求してきた「肉体と欲望の融合」が、ここでついに究極の形へと到達します。
主人公ジェームズは交通事故をきっかけに、同じ嗜好を持つグループと出会う。彼らは車の金属と人間の肉体が衝突する瞬間に官能を感じる“事故フェティシズム”の世界に生きていました。鉄と血と汗が入り混じる接触の中に、死と快楽の境界が崩れていく――。
この映画がすごいのは、異常性を見世物にせず、欲望の構造そのものを分析する冷徹な視線にあります。クローネンバーグは、私たちが日常的に触れている“テクノロジーとの接触”そのものが、すでに官能的で危険なものであると暴き出すのです。金属が肌を貫き、骨と機械が融合するシーンの数々は、まさに「変態美学」の真骨頂。
観終わった後、あなたは自分の車に触れる感覚すら変わってしまうかもしれません。愛と破壊が同居する“クローネンバーグ哲学”の極北を体感できる一本です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:官能・狂気ドラマ
- 一言ポイント:「金属と肉体が交わる瞬間、欲望は進化する──衝撃のカルト美学」

怖いとかグロいとかじゃなく、ひたすら変態的。だけど妙に納得させられる。

“車×肉体”の融合がこんなに美しくも恐ろしいとは…。クローネンバーグにしか撮れない。

観る人を選ぶけど、テーマの深さは圧倒的。人間の欲望をここまで剥き出しにする勇気。
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クラッシュ [DVD]



イグジステンズ
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1999年 | カナダ/イギリス | 97分 |
映画紹介:
ゲームの中で現実がねじれ、現実がゲームに飲み込まれる──。『イグジステンズ』は、クローネンバーグが“仮想現実”を題材に描いた哲学的サイバーホラー。『マトリックス』と同年に公開されながら、より肉体的でグロテスクな“現実の崩壊”を見せつけます。
人気VRゲーム「イグジステンズ」のデザイナー、アレグラは暗殺未遂に遭い、警備員テッドとともにゲーム世界へと逃げ込む。しかし、その世界は限りなく現実に似ており、どこまでがプレイでどこからが本当なのか、観る者も登場人物も判別不能になっていく──。
特筆すべきは、ゲーム接続ポートとして背中に埋め込まれた“バイオポッド”の存在。生き物のように脈打ち、呼吸し、指で触ると震える…この有機的デバイスが、クローネンバーグらしい「肉体×テクノロジー」の象徴です。現代のスマホ依存やVR文化の先駆けとしても不気味にリアル。
ラストに至るまで何層もの“現実”が入れ子になり、最終的に問いかけられるのは「いま自分が生きている世界は本物か?」という根源的恐怖。哲学と肉体性をここまで融合させたSFホラーは、まさにクローネンバーグにしか作れません。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:SF・仮想現実ホラー
- 一言ポイント:「現実もゲームも、どちらも肉体がつなぐ。未来を予言した哲学的ホラー」

『マトリックス』より先に“現実の虚構化”を描いてたとか、クローネンバーグやっぱ天才。

接続ポートが有機的すぎてゾワゾワ…。テクノロジーの生理的嫌悪をここまで表現できるのすごい。

何が現実かわからなくなる感覚がクセになる。終盤の入れ子構造が怖すぎる。
| 配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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イグジステンズ [DVD]



デッドゾーン
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 1983年 | カナダ/アメリカ | 103分 |
映画紹介:
スティーヴン・キング原作 × デヴィッド・クローネンバーグ監督という奇跡のタッグ。『デッドゾーン』は、予知能力を得た男が“未来の悲劇”を阻止しようとする心理スリラーであり、クローネンバーグ作品の中では異色ながらも静かな恐怖に満ちた名作です。
教師ジョニーは交通事故から5年後に昏睡から目覚め、自分に触れた人間の“未来”を見通す力を得ていることに気づきます。しかしその力は祝福ではなく呪い──。他人の運命を知ってしまうたびに、彼の精神と身体は蝕まれていきます。
クローネンバーグは、キング原作特有の超常要素をエンタメ的にではなく、「異能を持つことの孤独と苦悩」として描写。派手なグロはないものの、冷たいトーンの映像と抑制された演出が、ジョニーの心の崩壊をリアルに伝えます。終盤、政治家の暗殺をめぐる決断シーンは、クローネンバーグ作品屈指の“静かな絶望”です。
「未来を変えることは、正しいことなのか?」――その問いが、観る者の倫理観をえぐります。肉体ではなく精神の崩壊を描いたクローネンバーグ流ヒューマン・ホラーとして、今もなお高く評価される傑作です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:予知・心理スリラー
- 一言ポイント:「未来が見えることは救いか、それとも呪いか──静かな絶望が胸を打つ」

派手さはないけど、こんなに切ないクローネンバーグ映画は他にない。

超能力ものなのに、最後は人間ドラマとして泣ける。音楽も雰囲気も完璧。

クローネンバーグの冷たい演出が逆に感情を増幅させてくる。余韻が深い。
| 配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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デッドゾーン [DVD]



ヒストリー・オブ・バイオレンス
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 2005年 | アメリカ/カナダ | 96分 |
映画紹介:
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』は、クローネンバーグが“肉体の変容”から離れ、人間の中に潜む暴力の本質を描いた心理サスペンス。平穏な日常に潜む「もう一人の自分」を暴き出す、異色の衝撃作です。
小さな町でカフェを営むトムは、ある日店を襲った強盗を撃退し、英雄として注目を浴びます。だがその報道をきっかけに、彼の前に“過去を知る男たち”が現れ、トムが抱えてきたもう一つの顔──冷酷な殺し屋“ジョーイ”としての過去が浮かび上がるのです。
クローネンバーグは、人間の暴力衝動を「肉体の記憶」として描くという、彼らしいアプローチを見せます。トムの穏やかな家庭、愛する妻、子どもたち――それらが暴力によって再構築されていく過程は、まるで皮膚の下に隠された“本能”が露出していくよう。血飛沫は少なくても、心の奥を殴られるような痛みが残ります。
穏やかな家庭ドラマに見せかけて、実は「人間が暴力をやめられない理由」を描いた哲学的サスペンス。ヴィゴ・モーテンセンの演技が鬼気迫るほどリアルで、観る者に“人間の本性”を突きつけます。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:暴力・アイデンティティスリラー
- 一言ポイント:「“普通の男”の中に眠る殺意──暴力とは人間のもう一つの顔」

派手さはないけど、暴力の“後”をここまで丁寧に描くのがクローネンバーグらしい。

見た後の静けさが怖い…。暴力って結局どこまで人間の一部なんだろう。

クローネンバーグの中では一番“地味”だけど、一番現実的に怖い作品。
| 配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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ヒストリー・オブ・バイオレンス [DVD]



イースタン・プロミス
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 2007年 | イギリス/カナダ | 100分 |
映画紹介:
『イースタン・プロミス』は、ロンドンに巣食うロシアン・マフィアの世界を描いた、暴力と倫理の狭間を見つめるクライム・ドラマ。クローネンバーグが『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に続きヴィゴ・モーテンセンを主演に迎え、肉体的な恐怖を超えた“精神的ホラー”を作り上げました。
物語は、産婦人科医アンナが身寄りのない少女の遺した日記を発見するところから始まります。その日記は、人身売買・暴力・裏切りに満ちたマフィアの闇を暴くものでした。アンナが真相に近づくにつれ、マフィアの運転手ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)の正体と過去も明らかになっていきます。
クローネンバーグらしさが最も現れるのは、暴力の“生々しさ”を極限までリアルに描いた演出。特に浴場での格闘シーンは、裸のまま血と汗を浴びながら戦うニコライの肉体を通して、“人間の尊厳”と“生への執念”を同時に体感させます。そこに一切の音楽も装飾もなく、ただ生身の痛みだけが残るのです。
派手な銃撃戦もないのに、恐ろしく緊張感のある映画。暴力とは何か、そして人を救うとは何か──その問いを観る者に突きつける、静かな狂気の傑作です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:クライム・ヒューマンドラマ
- 一言ポイント:「肉体を武器にした沈黙の狂気──“人間の尊厳”を暴力で描く」

あの浴場の格闘シーン、何度見ても息が詰まる…。ヴィゴの気迫が尋常じゃない。

クローネンバーグの“暴力の美学”が成熟した感じ。冷たくて熱い、不思議な映画。

派手なホラーじゃないけど、現実の暴力の方がよっぽど怖いって思わされる。
| 配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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イースタン・プロミス [DVD]



クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
| 公開年 | 制作国 | 上映時間 |
|---|---|---|
| 2022年 | カナダ/ギリシャ | 107分 |
映画紹介:
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、80歳を超えたクローネンバーグが原点回帰した衝撃のSFホラー。臓器が新たに“進化”する未来を舞台に、肉体を芸術として見せるという狂気の概念を突きつけます。まさに“現代のヴィデオドローム”。
物語の中心は、アーティストのソールとそのパートナー、カプリース。彼らは、人間の身体に自然発生する“新しい臓器”を公開手術という形で披露するパフォーマンスを行っています。痛みを感じない未来の人類において、苦痛も快楽も境界を失い、肉体が“表現媒体”へと変貌していく――。
クローネンバーグは、長年描いてきた「身体と欲望」「科学と変態」のテーマを、本作で究極的に再定義します。手術=セックスというメタファーを用いながら、芸術・進化・倫理の境界を壊し続ける演出は圧倒的。全編を覆う静謐な不気味さと無機質な空気が、まるで現代社会そのものを解剖しているようです。
ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワートという豪華キャストが、人間の“新しい痛み”を表現する姿は美しくもグロテスク。クローネンバーグが問い続けてきた「肉体とは何か」「進化とは何か」の最終回答とも言える傑作です。
- 怖さ:
- グロ度:
- ジャンル:SF・人体芸術ホラー
- 一言ポイント:「手術は快楽。臓器は芸術。クローネンバーグが帰ってきた。」

静かな映画なのに、ずっと息苦しい。痛みを感じない未来が、こんなに不気味とは。

“手術=芸術”という発想が狂ってるのに美しい。クローネンバーグの集大成だ。

皮膚も臓器も冷たいのに、なぜか官能的。見終わってもしばらく脳が痺れる。
| 配信サービス | 配信状況 | 配信先 |
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