因習ホラー映画おすすめ10選｜逃れられない“村の掟”が恐ろしい…

幽霊でも殺人鬼でもない──人を狂わせるのは、“古くから受け継がれた掟”そのものだ。

閉ざされた村、奇妙な祭り、血筋で決められた運命。
そこでは、現代の常識も理屈も通用しません。信仰と恐怖が一体化した世界では、ただ“村の掟”に従うしかないのです。

今回は、日本を中心に選び抜いたおすすめの因習ホラー映画10選を紹介。
伝統と狂気が入り混じる村社会、祝祭の裏で行われる儀式、そして逃げ場のない共同体の恐怖──時代が変わっても消えない“人の闇”を体感してください。

信じるか、抗うか。
この村で生き残れるのは、どちらだ──。

逃れられない“村の掟”が恐ろしい…因習ホラー映画おすすめ10選

タイトル	ジャンル	怖さ
来る	祈祷・信仰ホラー
ミスミソウ	復讐・村社会
犬鳴村	都市伝説・心霊
みなに幸あれ	風習・犠牲
悪鬼のウイルス	信仰・感染ホラー
哭声／コクソン	祟り・宗教
ミッドサマー	奇祭・儀式ホラー
ウィッカーマン	異教・因習
ノイズ	社会派・村社会
嗤う蟲	伝承・純和風ホラー

来る

公開年	制作国	上映時間
2018年	日本	134分

映画紹介：
中島哲也監督が手がけた『来る』は、ホラーという枠を超えた“祈りと祟り”の物語。人々の悪意や呪いを“何か”として具現化させた存在が、主人公たちのもとへ「来る」。伝統的な祈祷儀式と、現代社会の不安が融合した圧倒的スケールの因習ホラーです。

物語は、ごく普通の夫婦のもとに届いた奇妙な来訪者から始まります。やがて霊媒師や祈祷師たちが集結し、巨大な“何か”に立ち向かうための儀式が行われる。その描写は、まるで古代の祭祀を現代に蘇らせたかのよう。日本的信仰と因習の恐ろしさを、現代的感覚で再構築した傑作です。

松たか子、岡田准一、黒木華、小松菜奈ら豪華キャストが集結し、それぞれの恐怖と祈りを体現。儀式シーンの迫力は圧巻で、音響と映像の洪水に圧倒されます。人間の“見えない悪意”こそが、最も恐ろしい。

この映画の本質は、単なる心霊ではなく、人間社会そのものが生み出す“因習”の呪い。祈り、信じ、そして絶望する——そんな人間の業が渦巻く、壮大なホラー叙事詩です。

ミスミソウ

公開年	制作国	上映時間
2018年	日本	114分

映画紹介：
「因習」という言葉が、単に古い村や宗教だけを意味する時代は終わった──。『ミスミソウ』が描くのは、現代に生きる“人間の因習”＝集団の暴力と排他です。内藤瑛亮監督が押切蓮介の原作漫画を実写化し、田舎の中学校を舞台に凄惨ないじめと報復の連鎖を描き出します。

主人公・春花は転校先の田舎の学校で理不尽ないじめを受け、やがて家族を焼かれるという最悪の悲劇に直面します。そこから始まるのは、静かで冷酷な復讐劇。閉鎖的な村社会と、誰も止めようとしない“空気の支配”が、恐怖の温床として描かれます。

血と雪のコントラストが美しくも痛ましく、感情をえぐるような映像美が印象的。「誰も悪くない」という言葉の裏に潜む暴力の連鎖が、観る者の心を静かに蝕みます。ホラーの形を借りた社会告発映画とも言えるでしょう。

“村の掟”が変わらぬように、“人の残酷さ”もまた変わらない。
それを突きつける『ミスミソウ』は、現代の因習ホラーの核心です。

犬鳴村

公開年	制作国	上映時間
2020年	日本	108分

映画紹介：
日本最恐の心霊スポットとして知られる“犬鳴トンネル”を題材にした『犬鳴村』は、都市伝説と因習ホラーを融合させた清水崇監督の代表作。現代日本に潜む“伝承のリアル”を見事に再構築しています。

主人公は臨床心理士の森田奏。彼女の家族が次々と不可解な出来事に巻き込まれる中で、やがて封印された村「犬鳴村」の存在に辿り着く。そこでは、血筋・呪い・村の掟が絡み合い、時代を越えて“見えない手”が人々を縛り続けていることが明らかになります。

ホラー演出のテンポも秀逸で、Jホラーの原点である“見せない恐怖”と、近年のスケール感を併せ持つ。水面や闇に潜む霊、耳に残る犬の鳴き声──。それらが静かに恐怖を積み上げていきます。

実在の場所と伝承を組み合わせることで、「現代にも息づく因習」を感じさせる傑作。観終えたあと、犬鳴トンネルの地図を開く勇気は、きっとあなたにはないはず。

みなに幸あれ

公開年	制作国	上映時間
2023年	日本	101分

映画紹介：
下津優太監督が手がけた『みなに幸あれ』は、2020年代の日本に現れた新時代の因習ホラー。舞台は一見のどかな村。しかしその“幸せ”は、血と犠牲の上に成り立っていた──。

主人公・ちひろが祖父母の家を訪ねると、村人たちは異様に優しく、そして不気味に「幸せ」を語る。やがて彼女はこの土地に伝わる“ある儀式”の存在を知り、村の笑顔の裏に潜む狂気と対峙することになります。「幸福」という名の支配と同調圧力が、村を蝕んでいくさまは戦慄的です。

本作の恐怖は、幽霊でも怪物でもなく人間の集団心理そのもの。他人を犠牲にしてでも秩序を守ろうとする“善意の狂気”が、まさに現代社会の縮図。暗い民家の照明、耳に残る祈りの声、どれもが不穏に響きます。

「幸せ」という言葉がこれほど怖く響く映画は珍しい。
静かに、しかし確実に心を締め上げてくる、令和の因習ホラー決定版です。

悪鬼のウイルス

公開年	制作国	上映時間
2025年	日本	103分

映画紹介：
松野友喜人監督による『悪鬼のウイルス』は、パンデミックを題材にしながらも、単なる感染ホラーでは終わらない。“信仰”と“村の掟”が感染よりも恐ろしい形で人を支配していく因習ホラーです。

物語の舞台は、感染者を外界から隔離した山間の村。主人公はウイルス研究員として派遣された青年だが、村人たちは科学ではなく“神の怒り”を信じており、儀式によって疫病を鎮めようとする。その祈りが次第に暴走し、理性より信仰が上回る狂気の共同体へと変貌していくのです。

閉ざされた空間で恐怖が連鎖する展開は息をのむほど緊迫。マスク、消毒、祈祷──現代社会のコロナ禍を彷彿とさせる描写がリアルで、観る者に「信じるとは何か」を問いかけます。

タイトルの“悪鬼”とは、外から来るものではなく、信仰を狂信へと変える人間の心。風習が感染する、という逆説的な恐怖を描き切った一本です。

哭声／コクソン

公開年	制作国	上映時間
2016年	韓国	156分

映画紹介：
ナ・ホンジン監督の『哭声／コクソン』は、韓国映画史に残る傑作ホラーにして、因習・信仰・祟りの三位一体を極限まで描き切った宗教ホラーの金字塔です。韓国の山間の村で起こる連続殺人事件。住民たちは原因不明の病と異常行動に怯え、やがて村に住み着いた“外来の男”にすべての罪を押しつけ始めます。

警察官ジョングが真相を追ううちに、カトリックの神父、巫女、祈祷師、そして謎の日本人──それぞれが異なる信仰と理屈を掲げ、村の混乱はやがて“信じる者同士の戦い”へと発展していきます。その過程で描かれる儀式の迫力と音響の狂気は圧倒的。まるで観客自身が呪いに巻き込まれていくような錯覚を覚えるほどです。

善悪の境界は曖昧で、最後まで“何が真実なのか”がわからない構成も見事。信仰、迷信、そして恐怖──人が「何かを信じる」こと自体が恐ろしいという哲学的問いを突きつけます。

2時間半という長尺ながら、一瞬たりとも目が離せない。『哭声／コクソン』は、信仰と疑念の地獄を描いた現代因習ホラーの頂点です。

ミッドサマー

公開年	制作国	上映時間
2019年	アメリカ・スウェーデン	147分

映画紹介：
アリ・アスター監督の『ミッドサマー』は、“白昼の悪夢”という言葉がこれ以上似合う映画はないと言われるほど、美しさと狂気が同居する儀式ホラーの傑作です。北欧の奥地で90年に一度行われる祭りを訪れた若者たちが、想像を絶する儀式の渦に巻き込まれていきます。

本作が恐ろしいのは、真っ昼間の陽光の下で恐怖が進行すること。闇のない世界で、笑顔のまま狂気が進行していく異様な空気は、観客に逃げ場を与えません。村人たちは純白の服を纏い、青空の下で「死」を祝う。そのギャップが恐怖を増幅させています。

また、恋人との関係、喪失、孤独など、主人公ダニーの心理的変化がこの儀式と密接にリンク。精神的崩壊と共同体への同化を描くその構成は、単なるホラーを超えて宗教的寓話のようでもあります。

『ミッドサマー』は、“祝祭の明るさ”で恐怖を包み込むという逆転の発想で、因習ホラーを世界的ジャンルへと押し上げた作品。一度見たら忘れられない、「白い悪夢」です。

ウィッカーマン

公開年	制作国	上映時間
1973年	イギリス	88分

映画紹介：
“因習ホラー”というジャンルの原点にして伝説──それが『ウィッカーマン』です。1973年のイギリス映画で、現代まで続く「奇祭ホラー」「村ホラー」の原型を作り上げた作品。異教の風習、信仰の衝突、そして“信じること”の恐ろしさを描いた宗教スリラーの金字塔です。

物語は、警官ハウイーが失踪した少女を探すため、スコットランド沖の島「サマーアイル島」を訪れるところから始まります。島ではキリスト教が否定され、豊穣を願う異教の儀式が日常的に行われている。彼が信じる正義と、島の人々の信仰がぶつかり合う中で、やがて恐るべき真実が明らかに──。

全編に流れるフォークソングのような旋律と、どこか美しい村人たちの狂気が不気味に響く。「善と悪」「信仰と理性」の境界を揺るがす物語は、観る者の価値観を根底から覆します。

ラストシーンは映画史に残る衝撃。『ミッドサマー』をはじめとする多くの因習ホラーが、この作品から影響を受けたことは間違いありません。全ての“儀式ホラー”はここから始まったのです。

ノイズ

公開年	制作国	上映時間
2022年	日本	128分

映画紹介：
廣木隆一監督による『ノイズ』は、ホラーというより“現実の因習”を描いた社会派スリラー。過疎化が進む島で起きた殺人事件をきっかけに、村人たちが一致団結して罪を隠そうとする姿が、現代日本の“閉鎖社会ホラー”として深く刺さります。

舞台は、特産品「黒イチジク」で再生しつつある離島。外部から来た不審者を殺してしまった青年たちは、島の未来を守るために隠蔽を決意します。そこにあるのは善悪ではなく、「村を守るためなら何をしてもいい」という歪んだ正義。その構図こそ、現代に生きる“因習”の恐ろしさです。

松山ケンイチ、藤原竜也、神木隆之介らの演技が圧巻で、観る者に道徳的な葛藤を突きつけます。誰もが少しずつ狂気に染まっていく様子はまるで祟りのよう。信仰の代わりに“地域のため”という言葉が人を支配していく、まさに令和の因習劇です。

『ノイズ』は、“悪意”ではなく“正義”が人を狂わせる恐怖を描いた異色作。静かで現実的なその狂気は、超常現象よりもずっと身近で、そして逃げ場がありません。

嗤う蟲

公開年	制作国	上映時間
2025年	日本	99分

映画紹介：
清水崇監督が手がける『嗤う蟲』は、“田舎移住ブーム”の裏側に潜む人間の狂気を暴き出す現代型の因習ホラー。都会を離れて「幸せなスローライフ」を求めた夫婦が、村社会の掟に囚われていく――そんな現実味のある恐怖を描いています。

主人公はイラストレーターの杏奈（深川麻衣）。脱サラした夫・輝道（若葉竜也）とともに麻宮村へ移住します。村人たちは自治会長・田久保（田口トモロヲ）を神のように崇拝し、外から来た者を異様なほど歓迎する。しかしその優しさは、次第に“支配”へと変わっていくのです。

表向きは穏やかで清潔な村。けれど、その笑顔の裏では、村八分・献身・排除といった古い掟が今も息づいている。やがて夫は村の仕事に巻き込まれ、妻は恐るべき“共同体の秘密”を知ることになります。

『嗤う蟲』は、霊も怪物も出ない。だがその分、リアルで痛いほど怖い。人間の“同調と服従”こそが、もっとも古くて恐ろしい因習なのだと突きつけてきます。

因習ホラー・村ホラーを観るなら、U-NEXTで

閉ざされた村、奇祭、“掟”が人を縛る――そんな因習ホラー／村ホラーをじっくり味わうならU-NEXTが最適。国内外の話題作から掘り出し物まで幅広くラインナップされ、夜更けに一人で観ると背筋が凍る“静かな恐怖”をたっぷり堪能できます。

U-NEXTは見放題作品が豊富で、気になるタイトルを次々とチェック可能。さらにダウンロード再生・倍速視聴・テレビ/スマホ対応でライフスタイルに合わせて楽しめます。原作コミックや関連ノンフィクションも同じアプリで読めるから、作品世界を“観る×読む”で深掘りできるのも魅力。

また、U-NEXTでは毎月1,200円分のポイントがもらえるため、レンタルの最新作や有料の関連ドキュメンタリーも実質追加負担を抑えて視聴OK。因習テーマの新作チェックにも強いです。

初回登録なら31日間の無料トライアルも利用可能。
“笑顔の裏に潜む狂気”や“祭りに紛れた儀式”――知的で後を引くホラー体験を、この機会にU-NEXTでどうぞ。

▶ U-NEXTのおすすめポイント

＼ 初回31日間は無料登録可能！ ／

※解約はいつでも可能です

“村の掟”が生む恐怖に飲み込まれる。

恐怖の本質は、怪物や幽霊ではなく「人が信じるもの」の中にあります。

古くから受け継がれてきた風習や、誰も逆らえない掟──それらは人を守るために生まれたはずなのに、いつしか人を縛り、狂わせる存在へと変わっていく。因習ホラーが怖いのは、そこに超常現象を超えた“人間の本性”が見えるからです。

もしあなたが「静かに追い詰められる恐怖」や「笑顔の裏に潜む狂気」を味わいたいなら、因習ホラーはその最前線にあります。美しくも恐ろしい“共同体の地獄”──その中で、あなたは何を信じ、どう生き残りますか？