虫ホラー映画おすすめ10選｜這い寄る恐怖とグロ描写が満載！

人間にとって最も身近でありながら、本能的に忌避感を抱かせる存在──それが“虫”です。

小さな体で群れをなし、時に人間の肉体に入り込み、耳元で羽音を響かせる。見えないうちに忍び寄るからこそ、虫がもたらす恐怖は圧倒的にリアルで、心をえぐります。

映画の世界では、虫はただの不快な生き物ではありません。
人類を脅かす怪物へ、寄生し精神を壊す存在へ──多様な形で“ホラーの象徴”として描かれてきました。

今回は、世界中で製作された「虫ホラー映画」から10本を厳選。
知名度抜群の名作から、隠れたカルト的人気作、グロ度高めのインパクト作品まで幅広く紹介していきます。

虫が苦手な人は、覚悟して読み進めてください──。

虫ホラー映画おすすめ10選｜這い寄る恐怖とグロ描写が満載！

タイトル	ジャンル	怖さ
ザ・ベイ	寄生・モキュメンタリー
スウォーム	殺人蜂・パニック
バグ	心理・密室
スリザー	寄生・スプラッター
ザ・フライ	変身・SFホラー
フェノミナ	虫操り・超能力
ミミック	巨大昆虫・SF
クリープショー	短編・ゴキブリホラー
スタング	巨大スズメバチ・B級
群がり	バッタ・サバイバル

ザ・ベイ

公開年	制作国	上映時間
2012年	アメリカ	84分

映画紹介：
小さな湾岸の町で夏祭りのさなか、原因不明の発疹と高熱、皮膚の壊死が連鎖する──。『ザ・ベイ』はニュース映像、監視カメラ、緊急通報の記録を繋ぎ合わせたモキュメンタリー形式で、寄生虫パニックの地獄絵図を“現実の出来事”のように見せ切る一作です。

水質汚染がもたらしたのは、目に見えない敵。被害は点ではなく面で広がり、誰もが「自分の体の内側」から侵食されていく。寄生＝身体の主導権を奪われる恐怖を、臨場感ある断片映像が増幅します。

血まみれのゴアで煽るタイプではないのに、最終的な恐怖は強烈。医療現場の混乱、行政の隠蔽、現場記者の証言が重なるほど、スクリーンのこちら側の私たちにも「逃げ場がない」感覚が移ってくるのが本作の肝です。

“巨大怪物”ではなくミクロの侵略でここまで怖くできる──その発想と構成のうまさは必見。虫ホラーの中でも、リアリティで攻める異色の名品です。

スウォーム

公開年	制作国	上映時間
1978年	アメリカ	116分

映画紹介：
1970年代のアメリカで生まれた“動物パニック映画”の流れを象徴する大作が『スウォーム』です。人間を襲うのは、数百万匹もの殺人バチ。その羽音と黒い群れが空を覆い尽くす映像は、今見ても圧巻の迫力があります。

物語は、突如としてテキサスに現れた群れが街を襲い、人々をパニックに陥れるというもの。科学者や軍隊が対策に乗り出すものの、自然が持つ圧倒的な力を前にして人間社会が崩れていく様が描かれます。

今の目からすると大げさな部分もありますが、それも含めて当時のハリウッドが本気で“虫の恐怖”を描こうとした熱量が伝わってきます。豪華キャストを揃えたシリアス路線で、B級を超えた存在感を放っています。

リアルなグロ表現こそ少ないものの、群れで押し寄せる本能的な怖さは十分健在。70年代のパニック映画の空気感を味わいたい人には外せない一本です。

バグ

公開年	制作国	上映時間
2006年	アメリカ	102分

映画紹介：
虫が実際に画面を覆うわけではないのに、観る者の精神をかき乱す異色のホラーが『バグ』です。ウィリアム・フリードキン監督による本作は、密室の中で膨れ上がる妄想と偏執を描き、“心を蝕む虫”という見えない恐怖を具現化しました。

モーテルの一室で出会った男女。彼らは体に虫が巣食っていると信じ込み、次第に部屋はアルミ箔で覆われ、精神は破綻していきます。観客は「本当に虫がいるのか？それとも彼らの幻覚か？」という不確かさに翻弄されます。

血が飛び散るような派手なゴアは少ないですが、心理的な不快感と閉塞感は虫ホラーの中でも随一。視覚的な虫の描写が少ないからこそ、頭の中でイメージしてしまい、かえって強烈な印象を残します。

「虫は心の中にも棲む」というテーマを突きつける、精神的ホラーの代表格。耐性がある人でも後味の悪さに震えるはずです。

スリザー

公開年	制作国	上映時間
2006年	アメリカ	95分

映画紹介：
田舎町に隕石と共に落ちてきたのは、体に侵入して人間をゾンビのように変えてしまう謎の寄生生物──。『スリザー』は、B級ホラーの王道を詰め込みながらも、ジェームズ・ガン監督らしいブラックユーモアで観客を魅了する“寄生虫ホラー”の快作です。

住民が次々と寄生され、体は膨れ上がり、吐き気を催すほどのスプラッター描写が炸裂します。スライム状の寄生体が這い回るシーンは、虫嫌いでなくても悲鳴必至。映像的にも実際の虫のようなグロさと気持ち悪さを徹底的に見せつけます。

しかし本作の魅力は、ただのゴアに留まりません。パニックの中で浮かび上がる人間模様や皮肉な笑いが、作品全体を独特のテンションに引き上げています。真剣に観ても笑えてしまう、この絶妙なトーンがクセになるのです。

「気持ち悪いのに面白い」──。そんな両極端の感情を一度に味わえる、寄生ホラーの隠れた名作です。

ザ・フライ

公開年	制作国	上映時間
1986年	アメリカ	96分

映画紹介：
「人間が虫になる」というシンプルながら戦慄の設定を、ここまでリアルかつ悲劇的に描き切ったのが『ザ・フライ』です。デヴィッド・クローネンバーグ監督によるボディホラーの金字塔であり、愛と恐怖が同時に胸を締めつける傑作として名高い一本。

天才科学者セスは、物質転送装置「テレポッド」の実験中、ハエと融合してしまいます。最初は些細な変化に過ぎなかったものが、日を追うごとに皮膚はただれ、歯は抜け落ち、体液は腐食性を帯びていく──。肉体の崩壊と自我の喪失を徹底的に描き、観る者に強烈なインパクトを残します。

特殊メイクとアナログ特撮の完成度は圧倒的で、現代のCGでは味わえない生々しさが全編を支配しています。そして物語の軸には、愛する人の変貌を見届ける女性の視点が据えられており、ただの怪物映画ではなく悲劇のラブストーリーとして昇華されています。

グロテスクでありながら切ない。『ザ・フライ』は、「愛する人が変わっていく恐怖」を最も鮮烈に描いたホラー映画と言えるでしょう。

フェノミナ

公開年	制作国	上映時間
1985年	イタリア	116分

映画紹介：
アルジェント監督が放った異色ホラー『フェノミナ』は、虫を操る能力を持つ少女が殺人事件に巻き込まれていく物語。ジャーロ（イタリアンホラー）のスタイリッシュさと、虫が蠢くグロテスクな描写が融合した、唯一無二の作品です。

スイスの寄宿学校に転入した少女ジェニファーは、超自然的に虫と心を通わせる力を持っていました。その力を使い、連続殺人事件の真相に迫っていくのですが、虫が群れをなして人を襲うシーンや、腐敗した死体と蠢くウジの描写は強烈で、観る者を圧倒します。

透明感のある美少女と、グロテスクな虫の対比が生み出す不思議な美学は、アルジェント作品ならでは。幻想的な映像美と、思わず目を背けたくなるショッキングな映像が交互に押し寄せます。

「虫嫌いには絶対おすすめできない」と言われる一方で、ジャーロの美しさとホラーの残酷さを堪能できる稀有な一本です。

ミミック

公開年	制作国	上映時間
1997年	アメリカ	105分

映画紹介：
ギレルモ・デル・トロ監督がハリウッド進出第一作として手がけた『ミミック』は、巨大昆虫が暗躍するクリーチャーホラー。都市に蔓延する伝染病を防ぐために生み出された“遺伝子操作されたゴキブリ”が、想定外の進化を遂げて人類に牙を剥きます。

人間に擬態するようになった昆虫たちは、地下鉄や暗闇を舞台にじわじわと人を襲う。「人間の姿に見えるが実は虫」というアイデアは斬新で、視覚的にも心理的にも強烈な不気味さを与えます。

都市の暗渠や廃墟を活かした舞台設定も秀逸で、デル・トロらしいゴシックなビジュアルが存分に発揮されています。派手なスプラッターというより、じわじわと追い詰められていく緊張感が持続するのが特徴です。

監督自身が制作過程で不満を抱いたことでも知られますが、それでも昆虫ホラーの新しい扉を開いた一本として語り継がれる価値があります。

クリープショー

公開年	制作国	上映時間
1982年	アメリカ	120分

映画紹介：
スティーヴン・キング原作、ジョージ・A・ロメロ監督という夢のタッグが実現したオムニバスホラー『クリープショー』。その中でも特に虫ホラーとして有名なのが「They’re Creeping Up on You」というエピソードです。

潔癖症の富豪の男が密閉された高層マンションで暮らしているところへ、次第にゴキブリが大量発生。やがて部屋を埋め尽くし、体内にまで侵入する悪夢のような展開に発展します。あまりのインパクトに、シリーズ全体の代名詞となるほどの名シーンとなりました。

実際に本物のゴキブリを大量に使用したため、そのリアルさは段違い。映像的なショックはもちろん、潔癖や虫嫌いといった人間の根源的な不安を突き刺してきます。

ゴキブリの恐怖をここまで正面から描いた作品は希少で、短編ながらホラー史に残る衝撃度を誇るエピソードです。

スタング

公開年	制作国	上映時間
2015年	ドイツ	87分

映画紹介：
結婚パーティーの裏庭に突如現れたのは、巨大化したスズメバチの大群──。『スタング』は、低予算ながら迫力満点の映像とB級映画らしいノリで人気を博したクリーチャーホラーです。

おしゃれなパーティーが一瞬で阿鼻叫喚のサバイバルに変わり、スズメバチに刺された人々は体内から幼虫を食い破られるという衝撃展開に。「刺す」「群れる」「産みつける」という昆虫の本能的な恐怖が、観客の嫌悪感を煽ります。

もちろん真剣に観ればツッコミどころ満載ですが、むしろそのチープさが魅力。ド派手なゴア描写と笑える演出が絶妙に入り混じり、B級好きにはたまらない仕上がりです。

軽く楽しめる虫ホラーを探しているなら、まさに最適な一本と言えるでしょう。

群がり

公開年	制作国	上映時間
2023年	フランス	101分

映画紹介：
Netflixで配信され話題を呼んだフランス発の虫ホラー『群がり』。舞台は片田舎の農場。生活に苦しむ女性農家が食用バッタの養殖を始めるものの、その数が異常なスピードで増え、やがて制御不能の群れとなって人間に牙をむきます。

日常的な風景の中で、虫がじわじわと異常化していく描写が秀逸。小さな一匹が集団になるだけで恐怖の対象へと変わる──「群れ」という本能的な恐怖をリアルに体感させてくれます。

血しぶきや大規模なパニックシーンは少なめですが、農場を覆い尽くすバッタの黒い塊と、鳴き声や羽音の不快感が観客を精神的に追い詰めていきます。ホラーでありながら環境問題や人間の欲望を暗示する社会派な側面も評価されています。

静かに始まり、気づけば全身がゾワゾワする──。虫嫌いにとっては耐え難いリアル系サバイバルホラーです。

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”虫”がもたらす本能的な恐怖を体感しよう。

目の前を飛び回り、暗がりに潜み、時には体内へと入り込む──虫は人間にとって最も身近で、そして最も嫌悪される存在です。

だからこそ、虫を題材にしたホラー映画は、派手な演出がなくても生理的な恐怖を呼び覚ますのです。羽音、群れ、寄生…それらは誰の心にも潜む“原始的な嫌悪感”を突き刺し、他のホラーでは得られないゾワゾワ感を残します。

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