海や水中が舞台のホラー映画おすすめ14選｜深海の恐怖と極限サバイバル

幽霊でも殺人鬼でもない、でも息が詰まるほど“怖い”──その舞台は、**海の中**です。

水深数メートル。音も光も届かない暗闇のなか、頼れるのは自分の肺と直感だけ。

サメ、海の怪物、未知のウイルス、そして“何か”の気配。
水という逃げ場のない環境が、恐怖を何倍にも増幅させていきます。

今回は2010年以降を中心に、「水」や「海」が重要な舞台となるホラー／スリラー映画を厳選。
サバイバル系から静かな心霊モノ、深海のSFまで、濡れるほど怖い13本をお届けします。

水中では──あなたの悲鳴は誰にも届かない。

海や水中が舞台のホラー映画おすすめ14選｜逃げ場のない恐怖に沈め

タイトル	ジャンル	怖さ
ロスト・バケーション	サメ・サバイバル
海底47m	サメ・パニック
セーヌ川の水面の下に	サメ・都市パニック
MEG ザ・モンスター	巨大ザメ・モンスター
アンダーウォーター	深海・SFモンスター
ノーウェア：漂流	サバイバル・漂流
スウィートハート	無人島・モンスター
クロール ―凶暴領域―	ワニ・パニック
シー・フィーバー	海洋感染・SF
ザ・ベイ	モキュメンタリー・感染
ザ・ディープ・ハウス	幽霊屋敷・水中
オールド	リゾート・タイムスリラー
海にかかる霧	社会派・海上スリラー
仄暗い水の底から	心霊・Jホラー

ロスト・バケーション

公開年	制作国	上映時間
2016年	アメリカ	86分

映画紹介：
わずか200メートル先に岸がある。なのに、そこにたどり着けない──。『ロスト・バケーション』は、極限状況の“水上密室”で繰り広げられるサバイバル・サメホラーです。

ブレイク・ライブリー演じる医学生のナンシーは、母の思い出の海でサーフィンを楽しんでいたが、突如巨大なサメに襲われ、岩礁に取り残される。岸は見えているのに、海を渡れない。限られた時間、傷ついた身体、迫るサメ──観る側の呼吸まで浅くなっていきます。

登場人物はほぼ彼女一人。だが孤独と痛み、恐怖と希望をその表情と身体ひとつで表現しきるライブリーの熱演は圧巻。サメの恐怖だけでなく、生き延びようとする人間の本能がスクリーンから迫ってきます。

CGや派手な演出に頼らず、「そこに本当にサメがいる」感覚を突きつけてくるリアリティ。短い尺ながら濃密な緊張感を味わえる、現代サメ映画の傑作です。

海底47m

公開年	制作国	上映時間
2017年	アメリカ・イギリス	89分

映画紹介：
暗い海底で、酸素の残りはわずか──。『海底47m』は、酸欠とサメ、二重の恐怖に襲われる水中サバイバル・スリラーです。

休暇でメキシコを訪れた姉妹が、観光用のサメ見学ケージに乗り込むところから物語は始まります。しかし、ワイヤーが切れ、ケージごと水深47メートルの海底へ急落。減圧症の危険、酸素の残量、そして周囲を泳ぐ巨大なサメが、時間を刻々と削っていきます。

水中ならではの閉塞感と、音が伝わらない孤独。視界の端をかすめるサメの影が、静寂を切り裂く瞬間の恐怖は圧巻です。派手なアクションよりも、じわじわと迫る死の圧力で観客を締め上げます。

酸素ゲージが減っていく焦燥感は、観ているこちらまで息苦しくさせるほど。サメ映画でありながら、サバイバル・スリラーとしての完成度も高い一本です。

セーヌ川の水面の下に

公開年	制作国	上映時間
2024年	フランス	101分

映画紹介：
観光都市パリを流れるセーヌ川。その水面の下に潜んでいたのは──巨大ザメだった。『セーヌ川の水面の下に』は、都会と自然の脅威が激突する都市型サメパニックです。

世界的なスポーツ大会の最中、セーヌ川に突如出現したサメが人々を襲撃。川沿いの群衆はパニックに陥り、政府はイベントの中止と封鎖を迫られます。「人間の都合」で自然を押さえつけられるのかという問いも浮かび上がります。

従来の海洋サメ映画と異なり、本作は観光都市を舞台にした圧倒的な非日常感が見どころ。日常的な風景に突如“ありえない恐怖”が混じることで、現実味が一層高まります。

水中ホラーでありながら社会派の視点も盛り込み、娯楽性とメッセージ性を兼ね備えたフランス発の異色作。ありふれたパニック映画に飽きた人にもおすすめです。

MEG ザ・モンスター

公開年	制作国	上映時間
2018年	アメリカ・中国	113分

映画紹介：
「サメ映画の常識」をぶち壊したのが、この『MEG ザ・モンスター』。登場するのは、全長23メートルを超える史上最恐の古代ザメ・メガロドン。人類が決して敵わない“自然の怪物”の圧倒的スケールを体感できる一本です。

物語は、深海調査チームが未知の海域を探索中にメガロドンを目覚めさせてしまうところから始まります。やがて観光客でにぎわうビーチにその巨大な影が迫り、人間の文明がいかに無力かを突きつけてきます。

本作はスリラーでありながらエンタメ性も高く、巨大生物映画の爽快感を備えています。ジェイソン・ステイサム演じる主人公とメガロドンの対決は、まさに「人VS自然」の極限バトル。パニックホラーでありながらアクション大作の興奮も味わえます。

従来のサメ映画に食傷気味の人でも、スケールと迫力で圧倒される怪物映画として楽しめるでしょう。

アンダーウォーター

公開年	制作国	上映時間
2020年	アメリカ	95分

映画紹介：
地上から7マイル下──そこは人間が決して踏み込むべきではない領域。『アンダーウォーター』は、深海採掘基地で起きる未知の恐怖を描いたSFホラーです。

物語は、海底で突如発生した大地震から始まります。研究施設は崩壊し、生存者たちは暗闇と水圧に包まれた深海を移動しなければならなくなる。しかしその途中で、“何か”が彼らを狙っていることが明らかになっていきます。

クリステン・スチュワート演じる主人公ノラが見せる冷静さと絶望の狭間の表情は圧巻。『エイリアン』を彷彿とさせるシチュエーションと、圧倒的な深海描写の claustrophobic（閉塞感）が観客を押しつぶします。

単なるモンスター映画にとどまらず、「深海」という環境そのものが恐怖の源泉であることを突きつける一作。海の底で生き延びる術は、ほとんど残されていません。

ノーウェア：漂流

公開年	制作国	上映時間
2023年	スペイン	109分

映画紹介：
舞台は、海に漂うただ一つのコンテナ。『ノーウェア：漂流』は、極限の孤立と母性を描く海上サバイバル・スリラーです。

全体主義化した社会から逃げるため、妊娠中の女性マルタは密航を試みる。しかし輸送中の事故で、彼女は貨物コンテナに閉じ込められたまま海に投げ出されてしまいます。食料も水も尽きていく中、胎児を抱えながらどう生き延びるか──その姿は観る者の心を揺さぶります。

恐怖の対象はモンスターではなく、「絶対に助けは来ない」という現実。海の静けさと、漂流する孤独が強烈な心理的プレッシャーを与えます。さらに、母として子を守る決意がサバイバル劇を一層切実なものにしています。

水中モンスター系とは一線を画し、“人間の精神と肉体の限界”に挑むスリラー。観終わった後、胸に残るのは恐怖と同時に、母の強さへの感動です。

スウィートハート

公開年	制作国	上映時間
2019年	アメリカ	82分

映画紹介：
真っ青な海に囲まれた孤島。そこで待ち受けていたのは、夜になると現れる“何か”でした。『スウィートハート』は、サバイバルとモンスター・ホラーを融合させた注目作です。

難破したボートから生還したジェンは、無人島に漂着。食料を確保し、必死に生き延びようとするが、夜になると島の海岸に得体の知れない怪物が姿を現します。昼のサバイバルと夜の恐怖──二重のサバイバルが彼女を追い詰めていきます。

本作の見どころは、主人公を演じるキーア・シーラの圧倒的存在感。登場人物はほぼ一人にも関わらず、恐怖と孤独、そして生きる意志を全身で表現し、観客をスクリーンに釘付けにします。

怪物の造形や演出も秀逸で、姿がはっきり映るまでの“チラ見せ”が恐怖を加速。シンプルながら緊張感を最後まで持続させる良質サバイバル・モンスター映画です。

クロール ―凶暴領域―

公開年	制作国	上映時間
2019年	アメリカ	87分

映画紹介：
水は逃げ場を奪い、ワニは生存を許さない──。『クロール ―凶暴領域―』は、ハリケーン洪水の最中に襲来するワニの群れとサバイバルを描いたパニック・ホラーです。

舞台はフロリダ。巨大ハリケーンが迫る中、主人公ヘイリーは行方不明の父を探しに実家へ。地下で彼を見つけるが、同時にワニに襲われ、家ごと浸水して孤立無援に。水位は上昇し、出口は塞がれ、ワニは容赦なく迫る──息詰まる極限状況が展開します。

監督は『ハイテンション』や『ヒルズ・ハブ・アイズ』で知られるアレクサンドル・アジャ。スプラッター演出の名手らしく、容赦のない襲撃シーンと圧倒的な緊張感を実現しています。

ただのモンスター映画ではなく、父娘の絆や家族のドラマも描かれることで、恐怖の中に人間的な温かさが光ります。「息つく暇のない90分」として、パニック映画ファンにはたまらない一本です。

シー・フィーバー

公開年	制作国	上映時間
2019年	アイルランド・アメリカ・イギリス	95分

映画紹介：
海の闇は、時に“未知の病”を運んでくる。『シー・フィーバー』は、トロール漁船を舞台に、感染と孤立の恐怖を描いた海洋SFホラーです。

大学研究者シボーンは調査のため漁船に乗り込むが、航行中に船が謎の生物と接触。その直後から乗組員たちの身体に異変が現れ始める。感染拡大か、全滅覚悟の隔離か──限られた空間で迫られる選択は残酷そのものです。

本作が怖いのはモンスターの脅威よりも、「誰かが感染しているかもしれない」疑心暗鬼が船内を覆う点。狭い船室での不安と不信が、観客にもじわじわと伝染していきます。

『遊星からの物体X』のような緊張感を海上に移植したとも言える良作で、科学的リアリティと心理的ホラーの融合が際立っています。海という孤立空間を最大限に活かした一作です。

ザ・ベイ

公開年	制作国	上映時間
2012年	アメリカ	84分

映画紹介：
『ザ・ベイ』は、アメリカ独立記念日の小さな港町を襲う“水からのパンデミック”をモキュメンタリー形式で描いた異色ホラーです。

町の人々が次々と体調を崩し、皮膚がただれ、体内からは未知の寄生虫が発見される。原因は、湾に垂れ流された化学物質によって変異した寄生生物。普段飲んでいる水、泳いでいる海が突然“死の源”になる恐怖が生々しく描かれます。

監督は『レインマン』のバリー・レヴィンソン。名匠らしく、ニュース映像・ホームビデオ・監視カメラなど複数の視点を組み合わせて、まるで実際に起きた惨劇を目撃しているかのようなリアリティを構築しています。

「見えない感染源」が静かに人々を追い詰めていく描写はコロナ禍以降の今だからこそより響くものがあり、自然と人間の関係性を考えさせるエコ・ホラーとしても秀逸です。

ザ・ディープ・ハウス

公開年	制作国	上映時間
2021年	フランス	85分

映画紹介：
水中に沈んだ幽霊屋敷──その発想だけで心拍数が上がるはず。『ザ・ディープ・ハウス』は、湖底に沈んだ家で繰り広げられる新感覚のゴーストホラーです。

都市伝説的な廃屋を探すカップルがダイビングで湖に潜ると、水底に完全な形で残る家を発見。内部を探索するうちに、異様な装飾や拷問器具、そして人ならざる存在と対峙することになります。

水中撮影によるホラー表現は圧巻で、酸素残量というタイムリミットが常に緊張感を与えます。逃げ場のない水中で心霊現象が起きるという設定が、観る者を完全にパニックに陥れます。

“水中心霊ホラー”という唯一無二のジャンルを切り開いた本作は、Jホラー好きも洋画ホラーファンも唸る仕上がり。新しい恐怖体験を求める人にうってつけの一本です。

オールド

公開年	制作国	上映時間
2021年	アメリカ	108分

映画紹介：
楽園のようなリゾートで過ごす一日が、実は一生分の悪夢だった──。『オールド』は、時間の異常な加速に囚われた家族の恐怖を描くタイムスリラーです。

休暇で訪れた家族が、リゾートホテルの案内で秘密のビーチへ向かう。だがその場所では、30分で1年分の時間が流れるという異常現象が起きており、子どもたちは急速に成長し、大人たちは肉体の衰えに蝕まれていきます。

監督は『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン。美しい海辺の景色を舞台にしながら、取り返しのつかない“老い”の恐怖をストレートに突きつける演出は見事です。観客は「次に何が奪われるのか」と息を呑むことになるでしょう。

心霊や怪物は登場しないにも関わらず、“人間の寿命”という最大のホラーをテーマにした意欲作。リゾートホラーという皮を被った、現代的な寓話でもあります。

海にかかる霧

公開年	制作国	上映時間
2014年	韓国	111分

映画紹介：
『海にかかる霧』は、実際の事件をモチーフにした海上スリラー。ホラー的な演出を用いずとも、人間の欲望と罪がもたらす恐怖が観客の心を凍らせます。

不況にあえぐ漁船が違法な密航者を船に乗せるところから物語は始まります。やがて濃い霧の中で事故が起き、取り返しのつかない悲劇が連鎖。密閉された船内で広がる恐怖と狂気は、怪物以上に生々しく、残酷です。

主演はキム・ユンソク。彼が演じる船長の冷酷さと人間臭さは圧倒的で、観客に“人間こそが一番怖い”と実感させます。霧に包まれた海上という舞台が、逃げ場のない緊張感をさらに高めています。

海の怪物も幽霊も出てこない。けれど心をえぐるような恐怖が残る作品。社会派スリラーでありながら、ホラー好きにこそ刺さる映画です。

仄暗い水の底から

公開年	制作国	上映時間
2002年	日本	101分

映画紹介：
天井から落ちる水滴、じわりと広がるシミ──。『仄暗い水の底から』は、水を媒介にした恐怖と母娘の絆を描く国産ホラーです。

離婚調停中の母・松原淑美は、幼い娘とともに古びた団地に引っ越す。しかし部屋の天井からは止まらない水漏れが続き、やがてその「水」が不気味な存在を呼び寄せていきます。日常に潜む違和感が、やがて取り返しのつかない恐怖へと変わるのです。

監督は『リング』の中田秀夫。静かな演出と、音もなく忍び寄る水の存在感は、まさにJホラーの真骨頂。幽霊の直接的な脅しよりも、湿った空気と閉塞感が観る者の心をじわじわ侵食します。

単なる心霊ホラーにとどまらず、母と子の愛情の物語としても強い余韻を残す一作。水の冷たさと母の温かさ、その対比が胸を打つ、泣けるホラーの傑作です。

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息が続かない水中でのパニック、見えない感染症への不安、洪水の闇に潜むワニ──。
“水”が舞台になるだけで恐怖は何倍にも増幅し、観る者を逃げ場のない緊張感へと引きずり込みます。

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“水”がもたらす恐怖に飲み込まれる。

海や川、そして深海──人間にとって最も身近でありながら、最も未知に満ちた存在。それが「水」です。

水に囲まれた状況は、美しい景色であると同時に、一瞬で命を奪う舞台にもなり得ます。酸素の残量、見えない生物、そして逃げ場のない閉塞感──水という環境自体が恐怖を増幅させるのです。

もしあなたが「日常から切り離された極限の恐怖を体感したい」「幽霊や殺人鬼とは違うスリルを味わいたい」と思っているなら、水を舞台にしたホラー／スリラーは最高の選択肢です。冷たく、深く、底知れぬ恐怖に、ぜひ身を沈めてみてください。